RESTとは、Webアプリケーションの設計・実装におけるアーキテクチャスタイルの1つである。
リソース指向アーキテクチャ(ROA)とも呼ばれる。
RESTの4つの原則
RESTには、以下の4つの原則がある。
リソースの識別
RESTにおいて、リソースはURIで識別される。URIは、リソースの位置を示す文字列である。
例えば、以下のURIは、ブログ記事のリソースを表す。
https://example.com/blog/articles/1
このURIは、example.comドメインのblogディレクトリのarticlesディレクトリの1番目のファイルを表している。
リソースの操作
RESTにおいて、リソースはHTTPメソッドによって操作される。HTTPメソッドは、リソースに対してどのような操作を行うかを示す。
以下の表に、HTTPメソッドとその機能の概要を示す。
例えば、以下のHTTPリクエストは、ブログ記事のリソースを取得する。
GET https://example.com/blog/articles/1
このリクエストは、example.comドメインのblogディレクトリのarticlesディレクトリの1番目のファイルを取得する。
表現
RESTにおいて、リソースの表現は、メディアタイプによって指定される。メディアタイプは、リソースの形式を示す。
例えば、以下のメディアタイプは、JSON形式の表現を表す。
application/json
例えば、以下のHTTPリクエストは、JSON形式でブログ記事のリソースを取得する。
GET https://example.com/blog/articles/1
Accept: application/json
このリクエストは、example.comドメインのblogディレクトリのarticlesディレクトリの1番目のファイルをJSON形式で取得する。
無状態
RESTにおいて、クライアントとサーバ間の状態は、リソースの状態に依存する。
例えば、以下のHTTPリクエストは、ブログ記事のリソースを取得する。
GET https://example.com/blog/articles/1
このリクエストを実行した後、クライアントとサーバ間で状態は保持されない。
RESTのメリット
RESTには、以下のメリットがある。
シンプルで理解しやすい
RESTは、HTTPメソッドとURIの組み合わせによって、さまざまな操作を表現することができる。そのため、複雑な設計や構成を必要とせずに、シンプルで理解しやすいアーキテクチャを実現することができる。
拡張性が高い
RESTは、新しいリソースや操作を追加することが容易である。そのため、システムの要件に合わせて、柔軟に拡張することができる。
互換性が高い
RESTは、他のREST APIと互換性が高いため、さまざまなシステム間でデータをやり取りすることができる。そのため、システム間の連携を容易にすることができる。
セキュリティが高い
RESTは、セキュリティに配慮した設計になっているため、安全にデータをやり取りすることができる。たとえば、HTTPSによる通信や、認証・認可の機能などを利用することで、セキュリティを強化することができる。
RESTは、WebサービスやWebアプリケーションの開発に広く用いられているアーキテクチャである。そのシンプルさ、拡張性、互換性、セキュリティの高さなどのメリットから、さまざまなビジネスシーンで活用されている。
RESTの形式
HTTP
RESTは、HTTP(HyperText Transfer Protocol)を基本的なプロトコルとして利用している。HTTPは、WebブラウザとWebサーバ間の通信に用いられるプロトコルであり、RESTのシンプルさと拡張性、互換性、セキュリティの高さなどのメリットを実現するために、さまざまなHTTPメソッドやヘッダー、ステータスコードが利用されている。
REST APIでは、HTTPの以下のメソッドがよく利用される。
- GET:リソースの取得
- POST:リソースの作成
- PUT:リソースの更新
- DELETE:リソースの削除
JSON
REST APIでは、JSON(JavaScript Object Notation)がよく利用されるデータ形式である。JSONは、JavaScriptのオブジェクトをテキスト形式で表現した形式であり、人間が読みやすいだけでなく、機械でも簡単に処理することができる。
たとえば、ユーザーの情報を取得するには、GETメソッドで「/users/123」というURIにアクセスし、レスポンスボディでJSON形式のユーザー情報を受け取る。
{
"id": 123,
"name": "John Doe",
"email": "johndoe@example.com"
}
XML
REST APIでは、XML(Extensible Markup Language)もよく利用されるデータ形式である。XMLは、HTMLやCSSと同じようにタグでマークアップされたテキスト形式であり、データの構造を明確に表現することができる。
たとえば、ユーザーの情報を取得するには、GETメソッドで「/users/123」というURIにアクセスし、レスポンスボディでXML形式のユーザー情報を受け取る。
<user>
<id>123</id>
<name>John Doe</name>
<email>johndoe@example.com</email>
</user>
RESTの活用例
RESTは、WebサービスやWebアプリケーションの開発に広く用いられているアーキテクチャである。そのシンプルさ、拡張性、互換性、セキュリティの高さなどのメリットから、さまざまなビジネスシーンで活用されている。
RESTの活用例としては、以下のようなものが挙げられる。
Webサービス
RESTは、Webサービスを開発する際に、よく用いられるアーキテクチャである。RESTを利用することで、シンプルで拡張性・互換性・セキュリティに優れたWebサービスを実現することができる。
Webアプリケーション
RESTは、Webアプリケーションを開発する際にも、よく用いられるアーキテクチャである。RESTを利用することで、Webアプリケーションとバックエンドシステムの連携を容易にすることができる。
クラウドサービス
クラウドサービスは、REST APIを介してサービスを提供する。RESTを利用することで、クラウドサービスの開発・運用を容易にすることができる。
IoT
IoTは、REST APIを介してデバイスとデータをやり取りする。RESTを利用することで、IoTシステムの開発・運用を容易にすることができる。
まとめ
RESTは、Webシステムを構築するための優れた設計思想で、RESTを理解することで、Webシステムの設計・開発・運用を効率的に行うことが可能である。
RESTは、WebアプリケーションのAPI設計において広く用いられている。また、クラウドコンピューティングの分野でも、REST APIが採用されている。今後も主流のアーキテクチャスタイルとして使われていくと考えられる。