WHOISとは?仕組みなどをわかりやすく解説

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WHOISとは、ドメインIPアドレスの所有者情報を照会するためのプロトコル、およびその情報データベースを指す。




WHOISの仕組み

WHOISは、インターネット上のドメイン名やIPアドレスを管理する組織が提供する公開情報データベースを照会するための仕組みである。この仕組みは、クライアントサーバーモデルに基づいている。

  • データベースの分散管理: WHOISのデータベースは、特定の組織が集中管理しているわけではなく、世界中のレジストリやレジストラによって分散して管理されている。ドメイン名の場合、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が管理するgTLD(generic Top-Level Domain)やccTLD(country code Top-Level Domain)のレジストリが、それぞれのドメインに関する情報を保持している。IPアドレスの場合、IPアドレスの管理を行うRIR(Regional Internet Registry)がデータベースを保持する。
  • 照会プロトコル: クライアントは、WHOISプロトコルTCPポート43)を使用して、照会したいドメイン名やIPアドレスに関連するWHOISサーバーに直接接続し、情報を要求する。サーバーは要求された情報を含むレスポンスを返し、クライアントはそれを受信する。このシンプルなテキストベースのプロトコルが、情報の迅速な取得を可能にしている。
  • リフェラル(参照): ドメイン名のWHOIS照会では、最初にTLD(トップレベルドメイン)のレジストリWHOISサーバーに接続する。このサーバーは、特定のドメイン名がどのレジストラによって管理されているかを示す情報(リフェラル)を返す。クライアントは、その情報をもとに、次に適切なレジストラのWHOISサーバーに接続し、最終的な所有者情報を取得する。この多段階のプロセスが、分散管理されたデータベースから目的の情報を効率的に引き出すことを可能にしている。

WHOISの用途

WHOISは、その公開情報という性質から、多岐にわたる用途で利用されている。

  • ネットワークトラブルシューティング: ネットワーク管理者やエンジニアは、不審なトラフィックの発生元や、ネットワーク遅延の原因を特定するために、IPアドレスのWHOIS情報を利用する。これにより、トラフィックの所有者や、所属するAS(自律システム)を特定し、適切な組織に連絡をとることが可能になる。
  • セキュリティ調査とインシデントレスポンス: セキュリティアナリストは、フィッシングサイトやマルウェアのコマンド&コントロールサーバーといった悪意のあるドメインやIPアドレスの情報をWHOISで照会する。これにより、攻撃者の情報(登録者名、連絡先など)や、関連するインフラを特定し、テイクダウンや法執行機関への報告といったインシデントレスポンス活動に役立てる。
  • ドメイン名の空き状況確認と取得: ユーザーは、希望するドメイン名が既に登録されているかどうかをWHOISで確認する。登録されていれば、そのドメイン名がいつ期限切れになるか、また、誰が登録しているかといった情報を得ることができる。これにより、ドメイン名の取得戦略を立てる上で重要な判断材料となる。

WHOISのコマンド

WHOISコマンドは、LinuxやmacOSなどのUnix系オペレーティングシステムに標準で搭載されている。このコマンドラインツールを使うことで、手動でWHOIS情報を照会することが可能である。

  • 基本的な使い方: whois example.comのように、コマンドの後に照会したいドメイン名やIPアドレスを指定するだけで、関連情報を取得できる。コマンドは自動的に適切なWHOISサーバーを特定し、照会を行う。
  • 出力内容: 取得される情報は、照会対象(ドメイン名かIPアドレスか)や管理組織によって異なるが、一般的には、登録者名、組織名、連絡先(住所、電話番号、メールアドレス)、登録日、有効期限日、ネームサーバー情報などが含まれる。
  • プライバシーの問題と解決策: WHOISの情報は公開されているため、登録者の個人情報が誰でも閲覧可能であるというプライバシー上の問題がある。このため、多くのレジストラは「WHOISプライバシー保護サービス」を提供している。このサービスを利用すると、WHOIS情報にはレジストラの代理情報が記載され、登録者の個人情報は非公開となる。これにより、個人情報の漏洩リスクを低減できる。

 

WHOISのサービス

WHOISは、その情報の公開性から、さまざまなオンラインサービスやツールによって利用されている。WHOISの最も一般的なサービスの一つに、ウェブベースのWHOIS検索ツールがある。これは、検索窓にドメイン名やIPアドレスを入力するだけで、瞬時にWHOIS情報を表示してくれるもので、多くのレジストラやドメイン管理会社が無料で提供している。これらのサービスは、情報を整形して見やすく表示するだけでなく、関連する情報(例:DNSレコード、ドメインの登録履歴、関連ドメインの提案など)も併せて提供することが多い。これにより、ユーザーは一つのプラットフォームで多角的な情報を得ることが可能になる。

また、WHOISプライバシー保護サービスは、ドメイン登録者の個人情報を保護するために極めて重要なサービスである。前述の通り、WHOIS情報はデフォルトで公開されているため、登録者の氏名、住所、電話番号、メールアドレスといった個人情報が誰でも閲覧可能な状態となる。このサービスを利用すると、レジストラが提供する代理情報(例:レジストラの住所、汎用メールアドレス)がWHOISデータベースに登録されるため、登録者の個人情報が直接公開されることを防ぐことができる。これにより、スパムメールの増加や、悪意のある第三者による個人情報の不正利用といったリスクを大幅に低減できる。

さらに、WHOIS API(Application Programming Interface)も重要なサービスの一つである。これは、開発者や企業が自身のアプリケーションやシステムにWHOISの照会機能を組み込むためのインターフェースである。例えば、サイバーセキュリティ企業は、不審なドメインが登録された際に自動的にWHOIS情報を取得し、脅威インテリジェンスプラットフォームに統合するシステムを構築するためにAPIを利用する。これにより、リアルタイムでの脅威分析や、インシデントレスポンスの自動化が可能となる。ドメインの空き状況を監視するサービスや、ドメインポートフォリオを管理するツールも、このAPIを活用して開発されている。これらのサービスは、手動でのWHOIS照会では得られない、高度な機能と自動化されたプロセスを提供し、WHOISの活用範囲を大きく広げている。

まとめ

WHOISは、インターネット上のドメイン名やIPアドレスの所有者情報を公開する、シンプルでありながら極めて重要な技術である。この分散管理されたデータベースとプロトコルは、ネットワークの安定稼働、セキュリティインシデントへの対応、そしてドメイン名の管理など、多岐にわたる用途で活用されている。

今日のインターネットにおいては、サイバーセキュリティの脅威が日々増大しており、WHOIS情報の透明性は、インシデントレスポンスや脅威インテリジェンスの構築において不可欠な役割を果たす。一方で、プライバシー保護の観点から、個人情報の公開範囲を制限するサービスも広く普及している。

 

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