FaaS(Function as a Service)とは、サーバーやOSなどのインフラの管理をサービスプロバイダが行うクラウドサービスである。
従来のアプリケーション開発では、サーバーやストレージなどのインフラを自社で用意する必要があったが、FaaSでは、これらのインフラをクラウドサービスプロバイダーが提供する。
ユーザーは、アプリケーションの処理に必要な機能を提供する関数(Function)を開発し、それをサービスプロバイダのクラウド上にデプロイするだけで、アプリケーションを実行できる。
FaaSの特徴
FaaSの特徴は、以下の3つが挙げられる。
- サーバーの管理が不要
FaaSでは、サーバーやOSなどのインフラをサービスプロバイダが管理するため、ユーザーはサーバーの調達や運用などの手間が省ける。
- 従量課金制
FaaSは従量課金制であるため、実際に使った分だけ料金が発生する。そのため、アプリケーションの利用状況に応じて、コストを最適化することができる。
- 短時間でアプリケーションをデプロイできる
FaaSでは、アプリケーションの処理に必要な関数を開発し、それをサービスプロバイダのクラウド上にデプロイするだけで、アプリケーションを実行できる。そのため、アプリケーションの開発やデプロイにかかる時間を大幅に短縮することができる。
FaaSのメリット
FaaSのメリットは、以下の4つが挙げられる。
- コスト削減
FaaSは従量課金制であるため、利用した分だけ料金が発生する。そのため、従来のサーバーを自社で用意して運用する場合に比べて、コストを削減することができる。
- 拡張性が高い
FaaSは、利用量に応じてサーバーの数を自動的に増減することができる。そのため、急激なアクセス増加にも対応できる。
- 開発・運用の効率化
FaaSは、サーバー管理やスケーリングなどのインフラの運用をクラウドサービス事業者に任せることができる。そのため、開発者はアプリケーションの開発に集中することができる。
- 柔軟性が高い
FaaSは、幅広いプログラミング言語やフレームワークに対応している。そのため、さまざまなアプリケーションを開発することができる。
FaaSのデメリット
FaaSには、以下の4つのデメリットもある。
- 制限された機能
FaaSは、従来のサーバーとは異なり、機能が制限されている。具体的には、メモリやCPUの使用量、実行時間などに制限がある。そのため、大規模なアプリケーションや、複雑な処理を必要とするアプリケーションには不向きである。
- セキュリティリスク
FaaSは、クラウドサービス事業者のインフラ上に構築されている。そのため、クラウドサービス事業者のセキュリティ対策に依存することになる。万が一、クラウドサービス事業者のセキュリティ対策に問題があった場合、セキュリティリスクが高まる可能性がある。
- 運用の難易度
FaaSは、従来のサーバーとは異なり、運用の難易度が高い。具体的には、パフォーマンスやコストのチューニング、障害対応などの運用ノウハウが必要である。そのため、FaaSを利用する際には、運用ノウハウを習得しておくことが重要である。
- 標準化が進んでいない
FaaSは、まだ新しい技術であるため、標準化が十分に進んでいない。そのため、異なるクラウドサービス事業者間での連携が難しい場合がある。
FaaSの活用例
FaaSは、さまざまなアプリケーション開発に活用することができる。具体的には、以下のようなものが挙げられる。
- Webアプリケーションのバックエンド
FaaSは、Webアプリケーションのバックエンドとして活用できる。従来のWebアプリケーション開発では、サーバーやストレージなどのインフラを自社で用意する必要があったが、FaaSでは、これらのインフラをクラウドサービスプロバイダーが提供する。そのため、Webアプリケーションの開発・運用を効率化することができる。
例えば、Amazon Web Services(AWS)のLambdaを活用することで、Webアプリケーションのバックエンドに必要な処理を、簡単に実装することができる。Lambdaは、イベントドリブンに対応しているため、Webアプリケーションのアクセスログの収集や、メール送信などの処理を、イベントが発生したときにのみ実行することができる。これにより、無駄な処理を減らし、コスト削減につながる。
- IoT
FaaSは、IoTのアプリケーション開発にも活用できる。IoTデバイスから送信されるデータを処理したり、IoTデバイスを制御したりするなどの用途に利用できる。
例えば、AWSのIoT CoreとLambdaを組み合わせることで、IoTデバイスから送信されるデータを、Lambdaで処理することができる。Lambdaは、さまざまなプログラミング言語に対応しているため、IoTデバイスから送信されるデータの種類に合わせて、処理をカスタマイズすることができる。
- データ分析
FaaSは、データ分析にも活用できる。データの収集・加工・分析などの処理をFaaSで行うことで、データ分析の効率化を図ることができる。
例えば、Google Cloud Platform(GCP)のCloud FunctionsとCloud Pub/Subを組み合わせることで、データ収集・加工・分析などの処理を、イベントドリブンで実行することができる。これにより、データ分析の自動化を実現し、業務の効率化につながる。
- イベントドリブンアプリケーション
FaaSは、イベントドリブンアプリケーションの開発にも活用できる。イベントが発生したときにのみ処理を実行できるため、無駄な処理を減らすことができる。
FaaSの代表的なサービス
FaaSの代表的なサービスには、以下のようなものが挙げられる。
- AWS Lambda
AWS Lambdaは、Amazon Web Servicesが提供するFaaSサービスである。Java、Python、Node.js、Goなどのプログラミング言語に対応している。
- Google Cloud Functions
Google Cloud Functionsは、Google Cloud Platformが提供するFaaSサービスである。Java、Python、Node.js、Goなどのプログラミング言語に対応している。
- Azure Functions
Azure Functionsは、Microsoft Azureが提供するFaaSサービスである。Java、Python、Node.js、C#などのプログラミング言語に対応している。
まとめ
FaaSは、サーバーの管理や運用をサービスプロバイダが行うクラウドサービスである。従量課金制で、短時間でアプリケーションをデプロイできる。コスト削減、開発・運用の効率化、スケーラビリティの向上などのメリットがある。
FaaSは、ウェブアプリケーションやモバイルアプリケーション、IoTアプリケーション、データ処理、ビッグデータ分析など、さまざまな用途に活用されている。今後もさらに普及していくことが予想される。