OAuthとは?種類などをわかりやすく解説

OAuthは、ユーザーが自分のアカウント情報を第三者のアプリケーションに共有することなく、そのアプリケーションに特定の権限を与えるためのオープンスタンダードな認可フレームワークである。

複雑なパスワードを共有することなく、安全かつ限定的なアクセスを許可できる。




OAuthの認証方法

OAuthは、認可フレームワークであるため、厳密には認証そのものを直接行うわけではない。しかし、OAuthフローの中でユーザー認証が重要な役割を果たすため、その仕組みを理解することは重要である。

OAuthにおける認証は、一般的に以下の2つの段階で行われる。

  1. クライアントの認証: クライアントは、認可サーバーに対して自身の識別情報(クライアントIDやクライアントシークレットなど)を提示し、正当なクライアントであることを証明する必要がある。これにより、悪意のあるアプリケーションがOAuthフローを悪用することを防ぐ。

  2. ユーザーの認証: クライアントがアクセス許可をリクエストすると、認可サーバーはユーザーに対して認証を求める。これは、ユーザーが自身のアカウントにログインする、または他の認証方法(二要素認証など)を提供することを意味する。ユーザー認証が成功すると、認可サーバーはユーザーがアクセス許可リクエストを承認する権限を持っていることを確認できる。

OAuth 2.0では、いくつかの異なる認可フロー(グラントタイプ)が定義されており、それぞれ異なる認証方法が利用される場合がある。例えば、認可コードグラントフローでは、ユーザーは認可サーバーが提供するログインページにリダイレクトされ、そこで認証を行う。一方、パスワードグラントフローでは、クライアントはユーザーのIDとパスワードを直接認可サーバーに送信し、認証を行う。ただし、パスワードグラントフローはセキュリティ上のリスクがあるため、慎重に利用する必要がある。

OAuthは、OpenID Connect(OIDC)と呼ばれる認証プロトコルと連携することで、より強固な認証メカニズムを提供することもできる。OIDCは、OAuth 2.0をベースに構築されており、ユーザーの認証情報に加えて、ユーザーに関する追加情報を提供するための仕組みを提供する。これにより、クライアントはユーザーの認証に加えて、ユーザーの名前やメールアドレスなどの情報も安全に取得できる。

OAuthにおける認証方法は、セキュリティと利便性のバランスを取るために、慎重に設計されている。ユーザーは、自身のアカウント情報をクライアントと直接共有することなく、安全に認証を行い、アクセス許可をコントロールできる。一方、クライアントは、ユーザーの明示的な承認を得て、必要なリソースへのアクセスを効率的に実現できる。

OAuthの種類

OAuthは、進化を続けながら、様々なバージョンや関連プロトコルを生み出してきた。それぞれのバージョンやプロトコルは、特定のユースケースやセキュリティ要件に対応するために設計されており、それぞれ異なる特徴を持つ。

OAuth 1.0

OAuthの初期バージョンであり、現在ではあまり利用されていない。複雑な署名方式を採用しており、セキュリティ上の脆弱性も指摘されているため、新規開発ではOAuth 2.0の利用が推奨される。

OAuth 2.0

現在、最も広く利用されているOAuthのバージョンである。OAuth 1.0の複雑さを解消し、シンプルかつ柔軟な認可フローを提供する。OAuth 2.0では、以下の4つの主要なグラントタイプ(認可フロー)が定義されている。

  • 認可コードグラント: Webアプリケーションなどで一般的に利用されるフロー。認可コードと呼ばれる一時的なコードを介して、アクセストークンを取得する。
  • インプリシットグラント: JavaScriptアプリケーションなどで利用されるフロー。認可コードを介さずに、直接アクセストークンを取得する。セキュリティ上のリスクがあるため、限定的なユースケースでのみ利用が推奨される。
  • リソースオーナーパスワードクレデンシャルズグラント: ユーザー名とパスワードを直接クライアントに送信して、アクセストークンを取得するフロー。セキュリティ上のリスクが非常に高いため、信頼できるクライアントでのみ利用が推奨される。
  • クライアントクレデンシャルズグラント: クライアント自身の認証情報を使用して、アクセストークンを取得するフロー。主に、クライアントが自身のAPIにアクセスする場合などに利用される。

OpenID Connect (OIDC)

OAuth 2.0をベースに構築された認証プロトコルである。OAuth 2.0が認可に焦点を当てているのに対し、OIDCは認証にも対応しており、ユーザーのアイデンティティ情報も提供する。これにより、シングルサインオンなどの機能を容易に実装できる。

OAuth 2.1

OAuth 2.0のセキュリティと使い勝手をさらに向上させることを目指して策定されたドラフト仕様である。OAuth 2.0で発生した課題や曖昧さを解消し、より安全かつシンプルな認可フローを提供することを目指している。

OAuthとSAMLの違い

OAuthとSAMLは、どちらもWebサービスにおけるセキュリティと利便性を向上させるための重要な技術だが、その目的と仕組みには明確な違いがある。

目的の違い

  • OAuth: OAuthは、認可に焦点を当てたプロトコルである。ユーザーが自身のアカウント情報(例えば、Googleアカウント)を第三者のアプリケーションに共有することなく、そのアプリケーションに特定の権限(例えば、Googleカレンダーの閲覧権限)を与えるための仕組みを提供する。

  • SAML: SAMLは、認証認可の両方を扱うプロトコルである。ユーザーが一度認証を行うだけで、複数のWebサービスに安全にアクセスできるシングルサインオン(SSO)を実現する。

仕組みの違い

  • OAuth: OAuthでは、アクセストークンと呼ばれる一時的なトークンを使用して、クライアントアプリケーションにリソースへのアクセス権限を与える。ユーザーは、認可サーバーにログインし、クライアントアプリケーションにどのリソースへのアクセスを許可するかを選択する。

  • SAML: SAMLでは、アサーションと呼ばれるXML形式のメッセージを使用して、ユーザーの認証情報と属性情報をアイデンティティプロバイダー(IdP)からサービスプロバイダー(SP)に伝達する。ユーザーは、IdPにログインし、SPにリダイレクトされる。SPは、IdPから受信したアサーションを検証し、ユーザーの認証と認可を行う。

ユースケースの違い

  • OAuth: OAuthは、主にWebアプリケーションやモバイルアプリケーションで利用される。ソーシャルログイン、API連携、IoTデバイス連携など、様々な場面で活用されている。

  • SAML: SAMLは、主に企業内のシステム連携やクラウドサービスへのアクセス制御などで利用される。シングルサインオン、フェデレーション認証など、企業のセキュリティと利便性を向上させるための重要な役割を果たす。

まとめ

OAuthは、現代のWebサービスにおいて欠かせない認可フレームワークである。OAuthの種類を理解することで、それぞれのユースケースに最適なOAuthフローを選択し、安全かつ効率的な認可メカニズムを構築できる。OAuthは進化を続けているため、最新の情報に常に注意を払い、最適なバージョンやプロトコルを選択することが重要である。

OAuthとSAMLは、どちらもWebサービスにおけるセキュリティと利便性を向上させるための重要な技術だが、その目的と仕組みには明確な違いがある。OAuthは認可に特化しており、SAMLは認証と認可の両方を扱う。それぞれの特性を理解し、適切な技術を選択することが重要である。

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