キャッシュとは?種類やメリットなどをわかりやすく解説

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キャッシュとは、CPUメモリストレージなど、異なる速度の記憶装置間でデータ転送の遅延を隠蔽し、処理速度を向上させるための記憶階層の一種である。

コンピュータシステムの様々な階層で利用されており、データアクセス時間を短縮することで、全体的なパフォーマンスを向上させる役割を担っている。




キャッシュの種類

キャッシュは、その実装場所や用途によって様々な種類に分類される。以下に代表的な種類とその特徴を紹介する。

CPUキャッシュ

CPUキャッシュは、CPUのすぐ近くに配置された高速な記憶装置であり、最近アクセスされたデータや命令を保存する。CPUデータや命令にアクセスする際、まずCPUキャッシュを検索し、ヒットすればメインメモリよりも高速にアクセスできる。CPUキャッシュは、L1キャッシュ、L2キャッシュ、L3キャッシュなど、複数のレベルに階層化されていることが多い。

L1キャッシュ

L1キャッシュは、CPUコアに最も近いキャッシュであり、最も高速なアクセス速度を持つ。一般的に数十KBから数百KB程度の容量を持ち、命令やデータの最近アクセスされた部分のみを保存する。

L2キャッシュ

L2キャッシュは、L1キャッシュよりも遅いが、L1キャッシュよりも容量が大きいキャッシュである。一般的に数百KBから数MB程度の容量を持ち、L1キャッシュにヒットしなかった命令やデータを保存する。

L3キャッシュ

L3キャッシュは、L2キャッシュよりも遅いが、L2キャッシュよりも容量が大きいキャッシュである。近年は多くのCPUで搭載されており、数MBから数十MB程度の容量を持つ。

メモリキャッシュ

メモリキャッシュは、メインメモリよりも高速な記憶装置であり、最近アクセスされたメモリ上のデータを保存する。CPUがメモリにアクセスする際、まずメモリキャッシュを検索し、ヒットすればメインメモリよりも高速にアクセスできる。メモリキャッシュは、CPUキャッシュとメインメモリの中間的な役割を果たす。

ソフトウェアキャッシュ

ソフトウェアキャッシュは、アプリケーションソフトウェアによって実装されるキャッシュである。オペレーティングシステム (OS) が提供するキャッシュ機能を利用するのではなく、アプリケーションソフトウェア自身がキャッシュ機能を実装する。

ハードウェアキャッシュ

ハードウェアキャッシュは、CPUやメモリなどのハードウェアによって実装されるキャッシュである。OSアプリケーションソフトウェアの介入なしに、ハードウェア自身がキャッシュ機能を提供する。

ディスクキャッシュ

ディスクキャッシュは、ディスク上のデータを一時的に保存する記憶装置であり、最近アクセスされたファイルやデータを保存する。アプリケーションファイルやデータにアクセスする際、まずディスクキャッシュを検索し、ヒットすればディスクよりも高速にアクセスできる。ディスクキャッシュは、ディスクアクセスを高速化することで、アプリケーションのパフォーマンスを向上させる。

ブラウザキャッシュ

ブラウザキャッシュは、WebブラウザがWebページや画像などのデータを保存するキャッシュである。WebブラウザがWebページにアクセスする際、まずブラウザキャッシュを検索し、ヒットすればWebサーバからデータをダウンロードする必要がなくなり、ページ表示速度を向上させることができる。

CDNキャッシュ

CDNキャッシュは、Content Delivery Network (CDN) によって提供されるキャッシュである。CDNは、Webサーバ上のコンテンツを複数のサーバに複製し、ユーザーに近いサーバからコンテンツを提供することで、コンテンツ配信速度を向上させる技術である。CDNキャッシュは、CDNサーバにコンテンツを保存することで、ユーザーからのアクセスをさらに高速化することができる。

キャッシュのメリット

キャッシュを利用することで、以下のメリットを得られる。

データアクセス時間の短縮

キャッシュに保存されているデータは、メインメモリやディスクよりも高速にアクセスできる。そのため、キャッシュを利用することで、データアクセス時間を短縮し、アプリケーションのパフォーマンスを向上させることができる。

処理速度の向上

データアクセス時間の短縮は、処理速度の向上にもつながる。特に、大量のデータにアクセスする必要があるアプリケーションにおいては、キャッシュの利用による処理速度の向上が顕著になる。

システム全体の性能向上

キャッシュを利用することで、個々のアプリケーションのパフォーマンスだけでなく、システム全体の性能も向上させることができる。これは、キャッシュによってデータアクセス時間が短縮されることで、システム全体の負荷が軽減されるためである。

電力消費量の削減

データアクセスには、電力が必要である。キャッシュを利用することで、データアクセス頻度を減らすことができ、電力消費量を削減することができる。

その他のメリット

上記以外にも、キャッシュ利用による以下のメリットが挙げられる。

  • ネットワーク帯域幅の節約
  • サーバ負荷の軽減
  • ユーザーの利便性向上

キャッシュのデメリット

キャッシュは、様々なメリットを持つ一方、以下のデメリットも存在する。

キャッシュの一貫性問題

キャッシュに保存されているデータは、元のデータと異なる場合がある。これは、データ更新時にキャッシュが更新されない場合や、キャッシュの有効期限が切れた場合などに発生する。

メモリ使用量の増加

キャッシュは、メモリ上にデータを保存するため、メモリ使用量が増加する。メモリ容量が限られているシステムにおいては、キャッシュの利用によってメモリ不足が発生する可能性がある。

セキュリティリスク

キャッシュに保存されているデータは、悪意のあるユーザーによって盗み見られたり、改ざんされたりする可能性がある。そのため、キャッシュには適切なセキュリティ対策を施す必要がある。

キャッシュの削除方法

上述のデメリットについては、定期的にキャッシュを削除することで解決することができる。以下に、代表的なブラウザとアプリにおけるキャッシュの削除方法を説明する。

ブラウザのキャッシュ削除方法

Google Chrome

  1. Chrome を開き、右上の縦 dots をクリックする。
  2. 「履歴」>「閲覧履歴の消去」を選択する。
  3. 削除したい期間を選択する。
  4. 「キャッシュされた画像とファイル」にチェックを入れ、その他の項目は必要に応じてチェックする。
  5. 「データを消去」をクリックする。

Safari

  1. Safari を開き、「Safari」>「環境設定」を選択する。
  2. 「プライバシー」タブをクリックする。
  3. 「Web サイトのデータを消去」をクリックする。
  4. 削除したい期間を選択する。
  5. 「すべて消去」をクリックする。

Firefox

  1. Firefox を開き、「メニュー」ボタンをクリックする。
  2. 「履歴」>「最近の履歴を消去」を選択する。
  3. 削除したい期間を選択する。
  4. 「詳細設定」をクリックする。
  5. 「キャッシュ」にチェックを入れ、その他の項目は必要に応じてチェックする。
  6. 「今すぐ消去」をクリックする。

アプリのキャッシュ削除方法

アプリのキャッシュ削除方法は、アプリによって異なる。以下に、代表的なアプリのキャッシュ削除方法を説明する。

Twitter

  1. Twitter アプリを開き、「プロフィール」アイコンをクリックする。
  2. 「設定とプライバシー」>「プライバシーとセキュリティ」>「データ利用とストレージ」を選択する。
  3. ストレージの使用状況」>「メディアストレージをクリア」を選択する。
  4. 「すべてクリア」または選択した項目をクリアする。

Instagram

  1. Instagram アプリを開き、「プロフィール」アイコンをクリックする。
  2. 右上のメニューボタンをクリックする。
  3. 「設定」>「アカウント」>「ストレージとキャッシュ」を選択する。
  4. 「キャッシュをクリア」を選択する。

LINE

  1. LINE アプリを開き、「設定」>「トークと通話」を選択する。
  2. 「データのバックアップと復元」>「データの消去」を選択する。
  3. 「キャッシュデータ」を選択する。
  4. 「消去」を選択する。

キャッシュとクッキーの違い

キャッシュと類似の技術として「クッキー」があるが、利用目的が異なる。キャッシュは、Webページの読み込み時間を短縮し、ユーザーの閲覧体験を向上させる目的で利用される。一方、クッキーは、ユーザー認証、閲覧履歴の保存、入力フォームの自動入力などの目的で利用される。

その他の違いは以下の通り。

保存するデータの種類

キャッシュは、WebページのHTMLファイル、画像ファイル、CSSファイル、JavaScriptファイルなどの静的データを保存する。一方、クッキーは、ユーザーID、パスワードログイン状態、閲覧履歴、入力フォームの内容などの動的なデータを保存する。

保存場所

キャッシュは、ブラウザのローカルストレージに保存される。一方、クッキーは、Webサーバから発行され、ブラウザのローカルストレージに保存される。

有効期限

キャッシュには、有効期限が設定されている場合と設定されていない場合がある。有効期限が設定されている場合は、その期限を過ぎると自動的に削除される。一方、クッキーには、有効期限が設定されている場合とブラウザを閉じるまで有効な場合がある。

まとめ

キャッシュとは、CPU、メモリ、ストレージなど、異なる速度の記憶装置間でデータ転送の遅延を隠蔽でき、システムのパフォーマンス向上に大きく貢献することができる。

キャッシュは、様々な種類があり、それぞれ異なる特徴を持つ。システムのパフォーマンスを向上させるためには、それぞれのキャッシュの特徴を理解し、適切なキャッシュを選択することが重要である。

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