インタプリタとは、プログラミング言語で書かれたソースコードを、コンピュータが実行できる機械語に変換しながら実行するプログラムである。
インタプリタの概要
インタプリタとは、ソースコードを逐次読み取り、その都度機械語に変換して実行する方式である。そのため、ソースコードを実行するたびに、インタプリタが機械語に変換する作業が発生する。
インタプリタの動作は以下の3つのステップに分けられる。
パース
パースでは、以下の処理が行われる。
- トークン分割
- 構文解析
トークンの並びから、構文的に正しい文法構造を構築する。
- 型チェック
変数や式の型をチェックする。
アセンブル
アセンブルでは、以下の処理が行われる。
- オペコードの生成
命令の種類や動作を示すオペコードを生成する。
- オペランドの生成
命令の対象となる値やデータを示すオペランドを生成する。
- 命令の並び付け
生成されたオペコードとオペランドを並べ替える。
実行
実行では、以下の処理が行われる。
- 命令の読み込み
メモリから命令を読み込む。
- 命令の実行
CPUを用いて、命令を実行する。
インタプリタの特徴
ソースコードの逐次解釈
インタプリタは、ソースコードを1行ずつ解釈しながら実行する。そのため、コンパイラのように、一度ソースコードを機械語に変換して、その後実行するわけではない。
コンパイル済みプログラムを必要としない
インタプリタは、コンパイラのように、コンパイル済みプログラムを必要としない。そのため、ソースコードを書き換えた場合は、コンパイルし直す必要がない。
実行時にエラーが発生しやすい
インタプリタは、ソースコードを逐次解釈しながら実行するため、実行時にエラーが発生しやすい。例えば、ソースコードの途中に誤りがあった場合、その行以降の処理が実行できなくなる。
インタプリタのメリット
プログラムをすぐに実行できる
インタプリタは、ソースコードを逐次読み取って実行するため、コンパイラのように、事前にソースコードを機械語に変換する必要がない。そのため、ソースコードを書いた直後に、すぐに実行することができる。
デバッグが容易
インタプリタは、ソースコードを逐次読み取って実行するため、エラーが発生した場合、その箇所をすぐに特定することができる。また、プログラムを実行しながら、ソースコードを修正することもできる。
移植性に優れる
インタプリタは、機械語に変換する必要がないため、さまざまなプラットフォームに移植しやすい。
インタプリタのデメリット
実行速度が遅い
インタプリタは、ソースコードを逐次読み取って実行するため、コンパイラのように、事前にソースコードを機械語に変換しておく必要がない。そのため、コンパイラ型言語と比べて、実行速度が遅い。
メモリ消費量が多い
インタプリタは、ソースコードを逐次読み取って実行するため、コンパイラ型言語と比べて、メモリ消費量が多い。
プログラムのサイズが大きい
インタプリタは、ソースコードを逐次読み取って実行するため、コンパイラ型言語と比べて、プログラムのサイズが大きい。
インタプリタの言語
インタプリタ言語として代表的なものは、以下のようなものが挙げられる。
Python
Pythonは、汎用性の高いプログラミング言語であり、Web開発、データサイエンス、機械学習、ゲーム開発など、さまざまな用途で用いられている。
JavaScript
JavaScriptは、Web開発において最も広く用いられているプログラミング言語である。HTMLやCSSと組み合わせて、Webページの動作を制御する際に用いられる。
Ruby
Rubyは、Web開発やデータサイエンス、機械学習などに用いられるプログラミング言語である。オブジェクト指向プログラミングに優れており、読みやすいコードを書くことができる。
PHP
PHPは、Web開発において古くから用いられているプログラミング言語である。静的なWebページの作成や、データベースとの連携などに用いられる。
Perl
Perlは、テキスト処理に特化したプログラミング言語である。テキストの検索や置換、正規表現処理などに用いられる。
Scheme
Schemeは、Lispの派生言語であり、関数型プログラミングに特化したプログラミング言語である。
Lisp
Lispは、古くからあるプログラミング言語であり、関数型プログラミングや人工知能などの分野で用いられている。
Lua
Luaは、ゲーム開発や、Webアプリケーションのクライアントサイドで用いられるプログラミング言語である。軽量で高速な言語であり、ゲームエンジンやWebフレームワークに組み込んで用いられることが多い。
インタプリタの用途
Web開発
Web開発においては、JavaScriptが広く用いられている。JavaScriptは、HTMLやCSSと組み合わせて、Webページの動作を制御する際に用いられる。
JavaScriptは、インタプリタ言語であるため、ソースコードを実行するたびに、パースやアセンブルを行う必要がないため、デバッグのしやすさがメリットとして挙げられる。
また、JavaScriptは、軽量で実行速度が速いため、Webページの動作をリアルタイムに制御する際に適している。
データサイエンス
データサイエンスにおいては、PythonやRが用いられることが多い。PythonやRは、データの収集・加工・分析・可視化などの処理を行う際に用いられる。
PythonやRは、インタプリタ言語であるため、ソースコードを実行するたびに、パースやアセンブルを行う必要がないため、デバッグのしやすさがメリットとして挙げられる。
また、PythonやRは、豊富なライブラリが用意されているため、データサイエンスにおけるさまざまな処理を簡単に行うことができる。
機械学習
機械学習においても、PythonやRが用いられることが多い。PythonやRは、機械学習のアルゴリズムを実行するために用いられる。
PythonやRは、インタプリタ言語であるため、ソースコードを実行するたびに、パースやアセンブルを行う必要がないため、デバッグのしやすさがメリットとして挙げられる。
また、PythonやRは、機械学習のアルゴリズムを実装するための豊富なライブラリが用意されている。
スクリプト言語
スクリプト言語は、アプリケーションの実行や、他のプログラムの機能拡張などに用いられる。インタプリタ言語は、スクリプト言語として用いられることが多い。
インタプリタ言語は、ソースコードを逐次読み取る都度、パースやアセンブルを行う必要があるため、実行速度がコンパイラ言語に比べて遅い。しかし、スクリプト言語は、アプリケーションの実行や、他のプログラムの機能拡張など、実行速度がそれほど重要ではない用途に用いられることが多い。
教育
インタプリタ言語は、デバッグのしやすさや早期発見のメリットから、教育用言語としても用いられることが多い。
教育用言語として用いられるインタプリタ言語としては、PythonやJavaScriptなどがよく用いられる。PythonやJavaScriptは、デバッグのしやすさや早期発見のメリットに加えて、豊富なライブラリが用意されており、さまざまな処理を簡単に行うことができるため、教育用言語として適している。
インタプリタとコンパイラの違い
インタプリタと対比されるプログラムとしてコンパイラがある。インタプリタとコンパイラは、どちらもプログラミング言語をコンピュータで実行するためのプログラムである。しかし、両者には以下の違いがある。
インタプリタは、ソースコードを実行するたびに、パースやアセンブルを行う必要がないため、デバッグのしやすさがメリットとして挙げられる。コンパイラの場合、ソースコードを実行するたびに、コンパイルを行う必要があるため、デバッグを行う際には、コンパイルエラーが発生するたびに、コンパイルからやり直す必要がある。
一方、インタプリタは、ソースコードを逐次読み取る都度、パースやアセンブルを行う必要があるため、実行速度がコンパイラ言語に比べて遅いというデメリットがある。コンパイラは、ソースコードを一度コンパイルすれば、その後は、コンパイル済みのコードを直接実行するため、実行速度がインタプリタ言語に比べて速い。
その他、インタプリタでは、コンパイルを行う際に発生するコンパイルエラーは、実行時に発見される。コンパイラの場合、コンパイル時に構文エラーは検出されるが、その他のエラーはソースコードを実時に発生する可能性がある。
まとめ
インタプリタとは、プログラミング言語で書かれたソースコードを、コンピュータが実行できる機械語に変換しながら実行するプログラムである。インタプリタには、ソースコードの逐次解釈、コンパイル済みプログラムを必要としない、実行時にエラーが発生しやすいなどの特徴がある。インタプリタは、スクリプト言語、開発環境、教育、デバッグなどの用途で用いられる。
インタプリタは、デバッグのしやすさと早期発見のメリットがあるが、実行速度が遅いという課題がある。インタプリタとコンパイラのどちらを採用するかにあたっては、目的や用途に合った方式を選択することが重要である。