EDRとは?メリットや注意点などをわかりやすく解説

EDR(Endpoint Detection and Response)とは、PCやサーバーといったエンドポイント端末を対象としたセキュリティソリューションである。

従来型のウイルス対策ソフトでは検知が難しい、未知の脅威や巧妙化する攻撃を検知し、対応することを目的としている。




EDRの機能

EDRの機能は多岐にわたるが、その中核をなすのは以下の3つである。

1. 脅威の検知

EDRは、エンドポイント端末上で発生する様々なイベントを監視し、脅威を検知する。その検知方法は、シグネチャベースの検知と振る舞い検知に大別される。

  • シグネチャベースの検知: 既知のマルウェアのファイルパターンや通信パターンと照合し、脅威を検知する。従来型のウイルス対策ソフトと同様の検知方法だが、EDRではより広範なシグネチャデータベースを活用し、より高度な脅威にも対応できる。
  • 振る舞い検知: ファイルやプロセスの実行、ネットワーク通信、レジストリへのアクセスなど、エンドポイント端末の挙動を監視し、不審な振る舞いを検知する。AIや機械学習を活用することで、未知の脅威やゼロデイ攻撃にも対応できる。

2. インシデント対応

EDRは、検知した脅威に対して、迅速な対応を可能にする。その対応方法は、自動対応と手動対応に分けられる。

  • 自動対応: あらかじめ設定されたルールに基づき、脅威を検知した際に自動的に対応を実行する。例えば、感染したファイルを隔離したり、不正なプロセスを停止したりする。これにより、セキュリティ担当者の負担を軽減し、対応時間を短縮できる。
  • 手動対応: セキュリティ担当者が、EDRのコンソールから手動で対応を実行する。例えば、感染した端末をネットワークから隔離したり、詳細な調査を行ったりする。より柔軟な対応が可能であり、複雑なインシデントにも対応できる。

3. 調査分析

EDRは、エンドポイント端末から収集したログを分析し、インシデントの原因や影響範囲を特定する。これにより、再発防止策を講じることができ、セキュリティ対策の強化に役立つ。EDRの調査分析機能は、以下の特徴を持つ。

  • 広範なログ収集: ファイル、プロセス、ネットワーク通信、レジストリなど、多岐にわたるログを収集し、詳細な分析が可能だ。
  • 相関分析: 収集したログを相関分析することで、一見無関係に見えるイベント間の関連性を明らかにし、攻撃の全体像を把握できる。
  • 可視化: 分析結果をダッシュボードやレポートで可視化することで、セキュリティ担当者は状況を容易に把握し、迅速な意思決定が可能になる。

EDRのこれらの機能は、単独で機能するだけでなく、相互に連携することで、より効果的なセキュリティ対策を実現する。例えば、脅威の検知によって得られた情報は、インシデント対応や調査分析に活用され、より的確な対応と再発防止策の策定が可能になる。

EDRのメリット

高度な脅威からの保護

従来型のウイルス対策ソフトでは検知が難しい、ゼロデイ攻撃や標的型攻撃などの高度な脅威に対しても、EDRは有効な対策となる。EDRは、シグネチャベースの検知に加え、振る舞い検知やAIを活用することで、未知の脅威を早期に検知し、被害を最小限に抑えることができる。

迅速なインシデント対応

EDRは、脅威を検知すると同時に、その情報を管理者に通知し、迅速な対応を可能にする。自動対応機能により、感染したファイルを隔離したり、不正なプロセスを停止したりすることで、被害の拡大を防ぐことができる。また、手動対応機能により、セキュリティ担当者はEDRのコンソールから詳細な調査を行い、より的確な対応策を講じることができる。

セキュリティ運用コストの削減

EDRは、脅威の検知と対応を自動化することで、セキュリティ担当者の負担を軽減し、運用コストを削減できる。また、EDRの調査分析機能を活用することで、インシデントの原因究明や再発防止策の策定を効率化できる。

可視性の向上

EDRは、エンドポイント端末のセキュリティ状況を可視化する。管理者は、EDRのダッシュボードから、各端末のセキュリティ状態、検知された脅威、対応状況などをリアルタイムで把握できる。これにより、セキュリティ対策の現状を把握し、改善策を講じることが容易になる。

コンプライアンス対応

EDRは、個人情報保護法やGDPRなどの法規制に対応するために必要なセキュリティ対策を強化できる。EDRのログ収集機能を活用することで、セキュリティインシデント発生時の原因究明や証拠保全を容易にし、コンプライアンス違反のリスクを低減できる。

これらのメリットは、EDRを導入することで得られるセキュリティ対策の強化だけでなく、企業の事業継続性やブランドイメージの向上にもつながる。EDRは、現代のビジネス環境において不可欠なセキュリティソリューションと言えるだろう。

EDRの代表的な製品

EDR市場は拡大を続けており、様々なベンダーから多様な製品が提供されている。ここでは、代表的なEDR製品をいくつか紹介する。

CrowdStrike Falcon

クラウドネイティブなEDRプラットフォームであり、高い検知精度と軽量なエージェントが特徴だ。AIを活用した脅威ハンティング機能や、インシデント対応を自動化する機能も備えている。

SentinelOne Singularity

AIを活用した自律型EDRプラットフォームであり、エンドポイントからクラウドまでを包括的に保護する。高い検知精度に加え、自動修復機能やランサムウェア対策機能も搭載している。

Microsoft Defender for Endpoint

Microsoftが提供するEDR製品であり、Windows OSとの親和性が高い。Microsoft 365 E5ライセンスに含まれており、Microsoft製品を多く利用している企業にとっては導入しやすい選択肢となっている。

VMware Carbon Black

エンドポイントの保護に加え、ワークロードやクラウド環境の保護も可能なEDRプラットフォームだ。AIを活用した脅威ハンティング機能や、EDRとSIEMを連携させる機能も提供している。

Trend Micro Apex One

エンドポイントセキュリティ対策の総合プラットフォームであり、EDRに加え、EPP(Endpoint Protection Platform)や脆弱性対策機能も提供している。幅広いセキュリティニーズに対応できるソリューションである。

EDRの注意点

EDRは強力なセキュリティツールであるが、導入にあたってはいくつかの注意点がある。

導入コスト

EDRは、従来型のウイルス対策ソフトと比較して高価な場合が多い。ライセンス費用に加え、導入や運用にかかる費用も考慮する必要がある。また、EDRの機能によっては、追加の費用が発生する場合もある。導入前に、自社の予算と照らし合わせて、費用対効果を十分に検討することが重要だ。

運用体制

EDRを効果的に運用するためには、専門知識を持った担当者を配置する必要がある。EDRからのアラートを適切に分析し、対応策を講じるためには、セキュリティに関する知識や経験が不可欠だ。また、EDRの運用には、定期的なアップデートやメンテナンスも必要となる。これらの作業を適切に行える体制を構築することが重要だ。

誤検知

EDRは、振る舞い検知やAIを活用して脅威を検知するが、誤検知が発生する可能性がある。誤検知は、セキュリティ担当者の対応負荷を増大させ、業務効率を低下させる原因となる。EDR導入にあたっては、誤検知が発生した場合の対応手順を事前に定めておくことが重要だ。

パフォーマンスへの影響

EDRは、エンドポイント端末上で常時動作するため、端末のパフォーマンスに影響を与える可能性がある。特に、古い端末やスペックの低い端末では、EDRの動作によって処理速度が低下する可能性がある。EDR導入前に、自社の端末環境とEDRの動作要件を照らし合わせ、パフォーマンスへの影響を評価することが重要だ。

プライバシーへの配慮

EDRは、エンドポイント端末のログを収集するため、プライバシーへの配慮が必要だ。収集するログの種類や範囲、保管期間などを明確にし、従業員への説明と同意を得ることが重要だ。また、EDRの運用にあたっては、個人情報保護法などの関連法規を遵守する必要がある。

EDRとアンチウイルスの違い

EDRとアンチウイルスは、どちらもエンドポイントのセキュリティ対策として重要な役割を果たすが、その目的や機能には大きな違いがある。

1. 目的の違い

アンチウイルスは、既知のマルウェアの侵入を 防ぐ ことを主な目的とする。一方、EDRは、マルウェアの侵入を 前提 とし、侵入後の検知と対応に重点を置く。

2. 機能の違い

アンチウイルスは、主にシグネチャベースの検知を用いてマルウェアを検知する。これは、既知のマルウェアのファイルパターンや通信パターンと照合してマルウェアを特定する方法だ。一方、EDRは、シグネチャベースの検知に加え、振る舞い検知やAIを活用して、未知の脅威やゼロデイ攻撃を検知することができる。

また、EDRは、脅威の検知だけでなく、インシデント対応や調査分析といった機能も備えている。EDRは、感染した端末を隔離したり、不正なプロセスを停止したりするなどの対応を自動または手動で実行できる。さらに、EDRは、エンドポイントから収集したログを分析し、攻撃の痕跡や感染経路を特定することで、再発防止策の策定に役立てることができる。

3. 守備範囲の違い

アンチウイルスは、主にファイルベースのマルウェアを対象とする。一方、EDRは、ファイルベースのマルウェアだけでなく、ファイルレスマルウェアやPowerShellなどのスクリプトを利用した攻撃、さらには、正規のツールを悪用した攻撃など、より広範な脅威に対応できる。

4. 運用体制の違い

アンチウイルスは、基本的に導入するだけで一定の効果が期待できる。一方、EDRは、導入後の運用が重要となる。EDRから出力されるアラートを分析し、適切な対応策を講じるためには、セキュリティに関する専門知識が必要となる。

まとめ

EDRは、高度化するサイバー攻撃から企業を守るための有効なセキュリティソリューションである。EDRを導入することで、セキュリティ対策を強化し、インシデント対応を迅速化することができる。ただし、導入コストや運用体制、誤検知、プライバシーへの配慮など、注意すべき点もある。EDR導入を検討する際には、これらの点を十分に考慮し、自社に最適なソリューションを選択することが重要だ。

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