エクストラネットとは、インターネット技術を用いて構築された、企業間やグループ企業間で限定的に共有される情報共有のためのネットワークシステムである。
エクストラネットの構築方法
自社で構築する
自社で構築する場合は、以下の手順で進める。
- 必要な機能の検討
- システムの設計・開発
- サーバの設置・設定
- セキュリティ対策
- ユーザー教育
- 運用・管理
自社で構築するメリットは、自社のニーズに合わせたシステムを構築できる点が挙げられる。一方、デメリットとしては、専門知識や人材が必要となること、コストがかかることなどが挙げられる。
クラウドサービスを利用する
近年では、エクストラネット構築用のクラウドサービスが提供されている。クラウドサービスを利用する場合は、以下の手順で進める。
クラウドサービスを利用するメリットは、専門知識や人材がなくても簡単に構築できること、コストを抑えられることなどが挙げられる。一方、デメリットとしては、自社で構築する場合に比べて機能が制限されること、セキュリティリスクが伴うことなどが挙げられる。
パッケージソフトウェアを利用する
エクストラネット構築用のパッケージソフトウェアも販売されている。パッケージソフトウェアを利用する場合は、以下の手順で進める。
パッケージソフトウェアを利用するメリットは、比較的簡単に構築できること、コストを抑えられることなどが挙げられる。一方、デメリットとしては、自社で構築する場合に比べて機能が制限されること、カスタマイズが難しいことなどが挙げられる。
構築方法の選択
エクストラネットの構築方法は、自社のニーズや環境によって異なる。自社で構築する場合は、専門知識や人材が必要となるため、事前に準備しておく必要がある。クラウドサービスを利用する場合は、機能やセキュリティレベルなどを比較検討して、最適なサービスを選択することが重要である。パッケージソフトウェアを利用する場合は、必要な機能が揃っているか、カスタマイズが可能なソフトウェアを選ぶことが重要である。
いずれの方法を選択する場合でも、事前に十分な検討を行い、自社にとって最適なエクストラネットを構築することが重要である。
エクストラネットのメリット
エクストラネットの導入によるメリットは多岐にわたるが、特に以下の点が挙げられる。
情報共有の効率化
エクストラネットを利用することで、従来の紙ベースや電話での情報伝達に比べ、迅速かつ効率的に情報を共有することが可能になる。例えば、製品カタログや価格表、マニュアルなどを最新版に更新するたびに、取引先に個別に送付する必要がなくなり、常に最新の情報にアクセスできる環境を提供できる。
コスト削減
情報共有の効率化により、印刷・郵送などのコストや、電話代などの通信コストを削減できる。また、従来の紙ベースのマニュアルなどを電子化することで、紙代や保管スペースの削減にも繋がる。
業務効率の向上
情報共有の効率化により、必要な情報に素早くアクセスできるようになり、業務の効率が向上する。また、取引先との情報共有がスムーズになることで、受発注業務やプロジェクト管理などが円滑に進められるようになる。
セキュリティの強化
エクストラネットは、ファイアウォールや認証システムなどのセキュリティ対策を講じることで、情報の漏洩や不正アクセスを防ぐことができる。また、アクセス権限を細かく設定できるため、必要な情報のみを必要なユーザーにのみ提供することが可能になる。
顧客満足度の向上
顧客に対して、必要な情報を迅速かつ効率的に提供することで、顧客満足度を向上させることができる。また、顧客とのコミュニケーションを円滑化することで、顧客との信頼関係を築き、リピーター獲得に繋がる。
このように、エクストラネットは、情報共有の効率化、コスト削減、業務効率の向上、セキュリティの強化、顧客満足度の向上など、多くのメリットをもたらす。
近年では、インターネットの普及やクラウドサービスの発展により、エクストラネットの導入がますます容易になっている。企業は、自社のニーズに合ったエクストラネットを導入することで、様々なメリットを享受することができるだろう。
エクストラネットの例
エクストラネットは、企業にとって多くのメリットをもたらす情報共有システムである。様々な用途で活用することができるが、以下に具体的な例をいくつか挙げる。
メーカーと販売店の情報共有
メーカーは、エクストラネットを通じて販売店に製品カタログや価格表、マニュアルなどを提供することができる。また、販売店は、受発注情報や顧客情報をメーカーと共有することができる。
企業とサプライヤーの情報共有
企業は、エクストラネットを通じてサプライヤーに資材調達情報や生産計画情報を提供することができる。また、サプライヤーは、品質管理情報や物流情報を企業と共有することができる。
金融機関と顧客の情報共有
金融機関は、エクストラネットを通じて顧客に口座情報や取引履歴、投資情報などを提供することができる。また、顧客は、金融機関に各種手続きをオンラインで依頼することができる。
医療機関と患者の情報共有
医療機関は、エクストラネットを通じて患者に診察結果や検査結果、治療計画などを提供することができる。また、患者は、医療機関に予約や問診をオンラインで行うことができる。
教育機関と学生の情報共有
教育機関は、エクストラネットを通じて学生に授業資料や課題、成績などを提供することができる。また、学生は、教育機関に課題の提出や質問をオンラインで行うことができる。
エクストラネットのデメリット
セキュリティリスク
エクストラネットは、インターネットと接続するため、情報漏洩や不正アクセスのリスクが伴う。ファイアウォールや認証システムなどのセキュリティ対策を講じることが必須である。また、ユーザーに対してセキュリティ教育を行い、情報セキュリティ意識を高めることも重要である。
導入・運用コスト
エクストラネットの導入には、システム構築費用や運用費用がかかる。また、セキュリティ対策やユーザー教育にもコストがかかる。中小企業にとっては、コスト負担が大きくなる場合もある。
情報管理の複雑化
エクストラネットを導入すると、社内情報と外部情報が混在するため、情報管理が複雑化する。情報セキュリティポリシーを策定し、情報管理体制を整備する必要がある。
利用者側の負担
取引先やサプライヤーなど、外部ユーザーは、エクストラネットを利用するために、専用のソフトウェアをインストールしたり、アカウントを取得したりする必要がある。利用者側の負担が大きくなると、利用率が低くなる可能性もある。
システムの複雑化
エクストラネットは、イントラネットとインターネットを接続するため、システムが複雑化する。システムの運用や管理には、専門知識が必要となる。
エクストラネットとインターネットの違い
エクストラネットとインターネットは、どちらもネットワーク技術を用いた情報通信システムであるが、利用範囲とセキュリティの面で大きな違いがある。
利用範囲
- インターネット:世界中の誰もが利用できる公開ネットワークである。
- エクストラネット:特定の企業や組織間で利用される限定的なネットワークである。インターネット上に構築されるが、アクセスには認証が必要となる。
セキュリティ
- インターネット:情報公開の自由度が高いため、セキュリティリスクも高い。ウイルス感染や情報漏洩などのリスクに常に晒されている。
- エクストラネット:インターネットよりもセキュリティレベルが高い。ファイアウォールやVPNなどの技術を用いて、アクセス制御やデータ暗号化が行われる。
用途
- インターネット:情報収集、コミュニケーション、ショッピング、エンターテイメントなど、様々な用途で利用される。
- エクストラネット:企業間の情報共有、サプライチェーンマネジメント、顧客情報管理など、ビジネス用途で利用される。
まとめ
エクストラネットは、組織間の情報共有やコラボレーションを実現するための有効な手段である。
エクストラネットを導入することで、情報共有の効率化、コスト削減、業務効率の向上、セキュリティの強化、顧客満足度の向上など、多くのメリットをもたらす。しかし、セキュリティリスク、導入・運用コスト、情報管理の複雑化、利用者側の負担、システムの複雑化などのデメリットも存在するため、導入を検討する際には、自社のニーズや環境を十分に考慮し、メリットとデメリットを比較検討することが重要である。