リピータとは?種類やメリットなどをわかりやすく解説

リピータとは、ネットワークにおいて伝送信号を中継する装置である。電気信号をそのまま送るのではなく、信号増幅や波形整形を行って中継するため、伝送距離を伸ばすことができる。




リピータの種類

リピータは、その機能や用途、使用する伝送媒体などによって、様々な種類に分類される。以下では、代表的なリピータの種類とそれぞれの特徴について詳しく解説する。

1. 電気リピータと光リピータ

リピータは、使用する伝送媒体によって、電気リピータと光リピータに分類される。

  • 電気リピータ: 電気信号を伝送するネットワークで使用されるリピータである。ツイストペアケーブルや同軸ケーブルなどの電気伝送媒体で減衰した電気信号を増幅し、波形を整えて再送する。イーサネットや電話ネットワークなど、従来の電気信号を用いたネットワークで多く使用されている。

  • 光リピータ: 光信号を伝送するネットワークで使用されるリピータである。光ファイバーケーブルで減衰した光信号を増幅し、波形を整えて再送する。長距離伝送に適した光ファイバーネットワークにおいて、伝送距離を延長するために用いられる。光リピータには、光増幅器(EDFA)や光トランシーバーなどを用いた様々な方式がある。

2. 伝送方式による分類

リピータは、伝送方式によっても分類される。

  • アナログリピータ: 入力されたアナログ信号をそのまま増幅して出力するリピータである。音声信号やビデオ信号など、アナログ信号を用いるネットワークで使用される。

  • デジタルリピータ: 入力されたデジタル信号をいったん電気的に処理し、再生成してから出力するリピータである。デジタル信号は、伝送中にノイズの影響を受けやすいため、デジタルリピータでは信号の波形を整え、エラーを訂正することで、信頼性の高い伝送を実現する。

3. ネットワーク構成における役割による分類

リピータは、ネットワーク構成における役割によっても分類される。

  • 中継リピータ: ネットワークの伝送路間に設置され、信号を中継して伝送距離を延長するリピータである。長距離ネットワークにおいて、信号の減衰を補償し、通信エリアを拡大するために用いられる。

  • 分岐リピータ: 入力された信号を複数の出力に分配するリピータである。ネットワークの分岐点に設置され、信号を複数の伝送路に分配することで、ネットワークを拡張するために用いられる。

4. その他の分類

上記以外にも、リピータは以下のような方法で分類される。

  • 設置場所: 屋内設置型、屋外設置型
  • 電源方式: AC電源型、DC電源型
  • 管理方式: 無管理型、管理型

これらの分類は、用途や目的に合わせて選択される。

リピータの動作

リピータは、ネットワークにおいて伝送信号を中継し、伝送距離を延長するための機器である。リピータは、以下の手順で動作する。

1. 受信

リピータは、伝送媒体から入力された信号を受信する。リピータの種類によって、電気信号や光信号など、受信する信号の種類は異なる。

2. 増幅・整形

リピータは、受信した信号を増幅し、波形を整える。信号増幅は、伝送距離を延長するために必要である。波形整形は、信号の品質を向上させるために必要である。

3. 再送

リピータは、増幅・整形した信号を伝送媒体に再送する。再送された信号は、次のリピータまたは終端に伝送される。

4. 衝突検知

リピータは、イーサネットネットワークで使用される場合、衝突検知を行う。衝突とは、複数の送信側から同時にデータ送信が行われた際に発生する現象である。リピータは、衝突を検知し、送信側に衝突通知を送信する。

5. 誤り検出・訂正

リピータは、伝送エラーが発生していないかどうかをチェックする。エラーが発生している場合は、エラー訂正を行う。

6. その他

リピータは、ネットワークの冗長性を向上させるために使用される場合もある。冗長性とは、ネットワークの一部に障害が発生しても、全体として通信を継続できる能力である。リピータを複数設置することで、冗長性を向上させることができる。

リピータのメリット

リピータは、ネットワークにおいて様々なメリットをもたらす。以下では、リピータを導入することによる主なメリットについて詳しく解説する。

1. 伝送距離の延長

リピータは、伝送信号を増幅することで、伝送距離を延長することができる。これは、長距離ネットワークを構築する上で重要なメリットである。特に、光ファイバーネットワークのような光信号を用いるネットワークでは、光ファイバーケーブルの損失によって伝送距離が制限される。リピータを設置することで、この制限を克服し、長距離伝送を実現することが可能になる。

2. 信号品質の向上

リピータは、伝送信号の波形を整えることで、信号品質を向上させることができる。これは、ノイズの影響を受けやすい無線ネットワークや長距離ネットワークにおいて特に重要である。リピータを設置することで、信号の減衰や歪みを補償し、エラー率を低減することが可能になる。

3. ネットワークの冗長性の向上

リピータは、ネットワークの冗長性を向上させることができる。冗長性とは、ネットワークの一部に障害が発生しても、全体として通信を継続できる能力である。リピータを複数設置することで、伝送路に冗長性を持たせることができ、障害発生時の影響を最小限に抑えることが可能になる。

4. ネットワークの拡張性

リピータは、ネットワークを拡張するために利用できる。分岐リピータを設置することで、ネットワークの分岐点を増やし、接続台数を増加させることができる。また、中継リピータを設置することで、伝送距離を延長し、ネットワークエリアを拡大することが可能になる。

5. コストの削減

リピータは、ネットワークのコスト削減に貢献できる場合がある。例えば、長距離ネットワークにおいて、リピータを設置することで、中継地点に必要な機器や施設を減らすことができ、コストを削減できる。また、ネットワークの冗長性を向上させることで、障害発生時の復旧作業にかかるコストを削減できる場合もある。

リピータとブリッジの違い

リピータとブリッジは、いずれもネットワークにおける信号伝送に関わる機器であるが、機能や役割においていくつかの重要な違いがある。主な違いは以下の通り。

項目 リピータ ブリッジ
データ処理方式 物理層 データリンク層
伝送距離への影響 延長できる 延長できない
ネットワークの分割 不可 可能
処理速度 速い 遅い
導入コスト 安価 高価
適用範囲

1. データ処理方式

リピータは、物理層(OSI参照モデルの第1層)で動作し、データ処理を行わずに電気信号を増幅・整形して中継する。一方、ブリッジはデータリンク層(OSI参照モデルの第2層)で動作し、MACアドレスに基づいてフレームをフィルタリングし、適切なポートに転送する。

2. 伝送距離への影響

リピータは信号を単純に増幅するため、伝送距離を延長できる。一方、ブリッジはコリジョン発生範囲を分割するため、伝送距離は延長できない。

3. ネットワークの分割

リピータはネットワークを分割できない。一方、ブリッジは複数のネットワークを論理的に分割し、ブロードキャストドメインを分割することができる。

4. 処理速度

リピータは単純な処理を行うため、処理速度は速い。一方、ブリッジはMACアドレス処理を行うため、処理速度はリピータよりも遅い。

5. 導入コスト

リピータは比較的安価な機器である。一方、ブリッジはリピータよりも高価な機器である。

6. 適用範囲

リピータは、イーサネットや光ファイバーなど様々なネットワークで使用できる。一方、ブリッジはイーサネットネットワークでのみ使用できる。

7. その他

リピータは、ネットワークの冗長化に役立つ。一方、ブリッジは、ネットワークのセキュリティ向上に役立つ。

まとめ

リピータは、ネットワークにおいて伝送距離を伸ばし、信号品質を向上させるために使用される装置である。

リピータは、伝送距離の延長、信号品質の向上、ネットワークの冗長性向上、拡張性向上、コスト削減など、様々なメリットをもたらす。ネットワークの構築や運用において、これらのメリットを理解し、適切なリピータを導入することで、ネットワークの性能や信頼性を向上させることが可能になる。

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