シャーディングとは?仕組みや種類・メリットをわかりやすく解説

シャーディングとは、データベースのデータを複数の物理サーバに分割する技術である。データベースの負荷を分散し、スケーラビリティを向上させるために用いられる。




シャーディングの仕組み

シャーディングの仕組みは、以下の3つのステップからなる。

シャードキーの選択

まず、シャードにデータを分割する基準となるシャードキーを選択する。シャードキーは、データのどの属性を基準に分割するかを決定する。

例えば、顧客テーブルの「顧客ID」をシャードキーとして用いる場合は、顧客IDを基準にデータを分割する。

データの分割

シャードキーに基づいて、データを各シャードに分割する。

例えば、顧客IDをシャードキーとして用いる場合は、顧客IDのハッシュ値を計算し、その値によってデータを各シャードに割り当てる。

データアクセスの制御

各シャードに分割されたデータへのアクセスを制御する。

例えば、顧客IDをシャードキーとして用いる場合は、顧客IDをキーとしてデータを検索する際、その顧客IDが属するシャードにのみアクセスするように制御する。

シャーディングの種類

ハッシュシャーディング

ハッシュシャーディングは、データの値をハッシュ関数で処理し、その結果をシャードに割り当てる方法である。

ハッシュ関数は、入力値を一定の範囲の値に変換する関数である。

ハッシュシャーディングは、データの値が均一に分散する場合に適している。

例えば、顧客IDをシャードキーとして用いる場合は、顧客IDをハッシュ関数で処理し、その結果が0~99の範囲内であれば、シャード0に割り当てる、100~199の範囲内であれば、シャード1に割り当てる、といったように処理する。

レンジシャーディング

レンジシャーディングは、データの値を範囲で分割する方法である。

レンジシャーディングは、データの値が連続的に分散する場合に適している。

例えば、商品テーブルの「商品価格」をシャードキーとして用いる場合は、商品価格を「100円以下」「100円~200円」「200円~300円」などの範囲で分割し、各範囲をシャードに割り当てる。

ゾーンシャーディング

ゾーンシャーディングは、データの値を地理的な位置で分割する方法である。

ゾーンシャーディングは、データの値が地理的に分散する場合に適している。

例えば、会員テーブルの「住所」をシャードキーとして用いる場合は、住所の都道府県や市区町村で分割し、各地域をシャードに割り当てる。

各シャーディングの種類のメリット、デメリットをまとめると以下の通り。

種類 特徴 メリット デメリット
ハッシュシャーディング データの値を均一に分散する データの分散が均一になる データの分布状況に依存する
レンジシャーディング データの値を連続的に分散する データの分布状況に依存しない データの分散が連続的である必要がある
ゾーンシャーディング データの値を地理的に分散する データのアクセスを地理的に分散できる データの分布状況が地理的である必要がある

シャーディングのメリット

データベースの負荷を分散できる

シャーディングによって、データベースのデータを複数のサーバに分散することで、各サーバにかかる負荷を分散することができる。

例えば、1つのデータベースで100万件のデータを処理する場合、1台のサーバで処理すると、100万件を1台で処理することになる。しかし、シャーディングによって100万件を10台のサーバに分散すると、各サーバで10万件を処理するだけで済むことになる。

これにより、データベースの処理速度を向上させることができる。

スケーラビリティを向上できる

データベースのデータを追加したり、データベースの処理能力を向上させたりすることで、シャーディングを拡張することで、システムのスケーラビリティを向上させることができる。

例えば、100万件のデータで処理速度が足りない場合、データベースのデータを追加することで、処理速度を向上させることができる。また、データベースの処理能力を向上させることで、処理速度を向上させることができる。

このように、シャーディングによって、システムの処理能力を拡張することができる。

データの可用性を向上できる

シャーディングによって、データベースのデータを複数のサーバに分散することで、サーバの故障やメンテナンスによってシステムが停止した場合でも、データの可用性を向上させることができる。

例えば、1つのサーバでデータベースを運用している場合、そのサーバが故障すると、データベース全体が利用できなくなる。しかし、シャーディングによってデータベースを複数のサーバに分散している場合、1台のサーバが故障しても、他のサーバでデータベースを利用することができる。

このように、シャーディングによって、システムの可用性を向上させることができる。

シャーディングのデメリット

データの整合性を維持する必要がある

シャーディングによってデータを複数のサーバに分散するため、データの整合性を維持する必要がある。

例えば、顧客テーブルの「顧客ID」をシャードキーとして用いる場合は、顧客IDが同じであれば、すべてのシャードに同じデータが存在する必要がある。

データの整合性を維持するためには、データの複製や同期などの手法を用いる必要がある。

データアクセスが複雑になる

シャーディングによってデータを複数のサーバに分散するため、データアクセスが複雑になる。

例えば、顧客テーブルの「顧客ID」をシャードキーとして用いる場合は、顧客IDをキーとしてデータを検索する際、その顧客IDが属するシャードにのみアクセスするように制御する必要がある。

データアクセスを複雑にするため、アプリケーションの設計や開発が複雑になる。

管理が複雑になる

シャーディングによって複数の物理サーバを管理する必要が生じる。

例えば、シャードごとにデータベースの容量や処理能力を監視し、必要に応じてスケーリングを行う必要がある。

また、シャード間のデータの同期や、シャードの故障時の対応など、管理が複雑になる。

シャーディングの活用例

ソーシャルメディア

ソーシャルメディアでは、ユーザーの投稿やコメントなどのデータをシャーディングすることで、システムの負荷を分散し、スケーラビリティを向上させている。

例えば、Twitterでは、ユーザーIDをシャードキーとして用いて、データをシャーディングしている。

ECサイト

ECサイトでは、商品の在庫データや注文データなどのデータをシャーディングすることで、システムの負荷を分散し、データの可用性を向上させている。

例えば、Amazonでは、商品の価格をシャードキーとして用いて、データをシャーディングしている。

ゲーム

ゲームでは、プレイヤーのゲームデータやゲームの状態データなどのデータをシャーディングすることで、システムの負荷を分散し、スケーラビリティを向上させている。

例えば、オンラインゲームでは、プレイヤーのIDをシャードキーとして用いて、データをシャーディングしている。

IoT

IoTでは、センサーから収集されるデータなどのデータをシャーディングすることで、システムの負荷を分散し、スケーラビリティを向上させている。

例えば、スマートシティでは、センサーから収集されるデータを地理的な位置でシャーディングしている。

まとめ

シャーディングは、データベースのデータを複数の物理サーバに分割する技術である。

シャーディングには、ハッシュシャーディング、レンジシャーディング、ゾーンシャーディングという3つの主要な種類がある。

シャーディングには、データベースの負荷を分散する、スケーラビリティを向上する、データの可用性を向上する、といったメリットがあるがデメリットもあるため、システムの要件に合わせて適切に適用することが重要である。

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