Parquet(パーケイ)とは、大量のデータを効率よく保存・分析するために設計されたファイル形式である。行ごとにデータを並べる従来の形式と異なり、列ごとにまとめて格納する「列指向」を採用している点が最大の特徴だ。同じ種類の値が隣り合うため圧縮が効きやすく、必要な列だけを読み出せるため分析時の処理も速い。データ分析基盤で扱う保存形式として、事実上の標準となっている。分析の現場では、何十もの列を持つ巨大なデータから、実際には数列だけを使って集計することが多い。行ごとに保存されていると、必要のない列まで含めて全体を読み込まざるを得ず、時間も費用も無駄になる。Parquetは「どう並べて保存するか」という一点を変えることで、この無駄を構造的に排除し、扱うデータ量が増えるほど効果が大きくなる仕組みを実現した。
Parquetの仕組み
Parquetは、データを列単位でまとめ、種類ごとに最適な圧縮と索引情報を付与することで機能する。
- 列指向での格納
同じ列の値をまとめて連続的に配置する。分析で使う列だけを選んで読み込めるため、無駄な読み取りが発生しない。
- 高い圧縮効率
同じ列には似た値が並ぶため、圧縮が非常に効きやすい。行ごとに雑多な型が混在する形式と比べ、大幅に容量を削減できる。
- スキーマの保持
各列の名前と型がファイル自身に記録される。読み込む側が構造を推測する必要がなく、型の食い違いも起きにくい。
- 統計情報による読み飛ばし
区画ごとに最大値や最小値を保持する。条件に合致しない区画を読まずに済み、検索がさらに高速化する。
Parquetのメリット
Parquetは、大規模データの分析において多方面の効果をもたらす。主な利点を見ていく。
- 保存容量の削減
高い圧縮率により、同じデータをはるかに小さく保存できる。クラウドの保存費用が直接的に下がる。
- 分析処理の高速化
必要な列だけを読むため、読み取り量が劇的に減る。列数の多いデータほど、この効果は顕著に表れる。
- 転送コストの低減
読み取り量に応じて課金される環境では、費用がそのまま削減される。分析の頻度が高いほど差が積み上がる。
- 型情報の保証
スキーマが埋め込まれているため、数値が文字列として解釈されるといった事故が起きない。データ品質の担保に寄与する。
- 幅広い対応
主要な分析基盤やデータ処理の道具が標準で対応している。特定の製品に縛られず、資産として長く扱える。
Parquetのデメリット・注意点
分析に適したParquetも、あらゆる用途に向くわけではない。注意点を押さえておきたい。
- 人が直接読めない
圧縮された二進形式のため、テキストエディタで開いて中身を確認できない。専用の道具を介する必要がある。
- 行単位の処理に不向き
特定の一行を取り出す用途では、列指向がかえって不利になる。業務システムの実データ保存には適さない。
- 追記・更新の難しさ
- 小さなファイルの乱立
細かく分割して書き出すと、かえって処理が遅くなる。適切な大きさにまとめる設計が求められる。
Parquetの活用例
Parquetは、データ分析の基盤を支える形式として幅広く使われている。代表的な活用シーンを紹介する。
- データレイクでの保存
クラウドストレージに蓄積する大量のデータを、この形式で保持する。容量と読み取り費用の両面で効率がよい。
- 分析基盤への取り込み
集計や分析を行う基盤の入力形式として用いる。読み込みが速く、大規模な集計処理の時間を短縮できる。
- ログデータの蓄積
大量に発生するログを圧縮して長期保存する。必要な項目だけを取り出して分析でき、保管費用も抑えられる。
- 機械学習の学習データ
特徴量を列として保持し、必要な列だけを読み込んで学習に使う。試行錯誤の繰り返しが効率化する。
- システム間のデータ受け渡し
型情報を含むため、受け渡し時の解釈違いが起きにくい。大量データの連携で信頼性と効率を両立できる。
ParquetとCSVの違い
広く使われるCSVと比べると、Parquetの性格がはっきりする。両者の違いを整理する。
- データの並べ方
CSVは行ごとに値を並べる。Parquetは列ごとにまとめるため、必要な列だけを読む処理が可能になる。
- 容量と圧縮
CSVはテキストで冗長になりやすい。Parquetは圧縮が効き、同じ内容をはるかに小さく保存できる。
- 型の扱い
CSVはすべて文字列として保存され、型は読む側の解釈に委ねられる。Parquetは型情報を持ち、解釈違いを防げる。
- 使い分けの指針
人が確認する小規模なデータや汎用的な受け渡しにはCSV、大規模な分析用途にはParquetが適する。目的で選び分けたい。
Parquetを扱う際のポイント
Parquetの効果を引き出すには、書き出し方の設計が重要になる。実務で意識したい要点を挙げる。
- ファイルサイズを適切に保つ
細かすぎるファイルの乱立は性能を損なう。ある程度まとまった大きさになるよう書き出しを設計したい。
- 分割の単位を検討する
日付など絞り込みに使う項目でファイルを分けると、読み取り範囲をさらに限定できる。検索性能が大きく向上する。
- 用途に応じて使い分ける
分析用途に限定し、業務データの実体保存や人が確認する用途には別の形式を使う。万能な形式ではないと認識したい。
まとめ
Parquetは、データを列ごとにまとめて格納する列指向のファイル形式であり、高い圧縮効率と必要な列だけを読み出せる特性により、大規模データの分析を効率化する。保存容量の削減や処理の高速化、型情報の保証といった効果をもたらし、データ分析基盤の標準的な保存形式となっている。一方で人が直接読めず、行単位の処理や更新には向かないため、用途を見極めた採用が求められる。ファイルサイズを適切に保ち、分割の単位を検討することが効果を引き出す鍵となる。扱うデータ量が増えるほど、保存形式の選択が費用と速度を左右する。分析用データの保存形式を、一度見直してみるとよいだろう。
