ACID特性とは?概要をわかりやすく解説

ACID特性とは、データベースにおけるデータの信頼性を保証するための4つの性質のことである。




ACID特性とは

ACID特性は、Atomicity(原子性)、Consistency(一貫性)、Isolation(独立性)、Durability(永続性)の頭文字を取って呼ばれている。これらの特性は、データベースシステムが安全かつ正確にデータを処理するために不可欠である。それぞれの特性について詳しく説明する。

Atomicity(原子性)

原子性は、トランザクション内の処理が全て実行されるか、または全く実行されないことを保証する性質である。トランザクションは、データベースに対する一連の操作をひとまとめにした単位であり、例えば、銀行口座からの振込処理であれば、「口座残高の確認」「振込金額の引き落とし」「振込先の口座残高への加算」といった複数の操作が含まれる。原子性があることで、これらの操作が途中で失敗した場合でも、データベースの状態は操作開始前の状態に戻り、データの不整合を防ぐことができる。

Consistency(一貫性)

一貫性は、トランザクションの前後で、データベースが常に整合性のある状態を保つことを保証する性質である。データベースには、データ間の関係性や制約(例えば、口座残高は常に0以上である)が定義されており、一貫性があることで、トランザクションによってこれらの制約が破られることはなく、常に有効なデータだけがデータベースに保存される。

Isolation(独立性)

独立性は、複数のトランザクションが同時並行で実行された場合でも、互いに干渉せず、それぞれ独立して実行されたかのように振る舞うことを保証する性質である。例えば、複数のユーザーが同時に同じ口座に対して振込処理を行った場合でも、独立性があることで、それぞれの処理が互いに影響を与えることなく、正しい結果が得られる。

Durability(永続性)

永続性は、一度コミットされたトランザクションの結果が、システム障害や停電などが発生しても失われないことを保証する性質である。例えば、銀行口座への振込処理が完了し、コミットされた場合、その後システムに障害が発生しても、振込処理の結果はデータベースに保存され、失われることはない。

ACID特性の具体例

ACID特性を理解するために、銀行の口座振替を例に具体例を解説する。

Atomicity(原子性)

口座Aから口座Bへ1万円を振り込む場合、以下の処理が実行される。

  1. 口座Aから1万円を引き出す
  2. 口座Bに1万円を入金する

原子性により、これらの処理は全て実行されるか、全く実行されないかのどちらかである。もし、口座Bへの入金処理中にシステムエラーが発生した場合、口座Aからの引き出しも取り消され、元の状態に戻る。

Consistency(一貫性)

銀行システムには、「口座残高は常に0以上である」という制約がある。一貫性により、振込処理の前後でこの制約は常に満たされる。つまり、口座Aの残高が1万円未満の場合、振込処理は実行されず、口座残高は常に0以上を保つ。

Isolation(独立性)

複数のユーザーが同時に同じ口座からお金を引き出そうとした場合、独立性により、それぞれの処理は互いに干渉しない。例えば、口座残高が1万円の場合、ユーザーAが5千円を引き出し、同時にユーザーBが6千円を引き出そうとしても、どちらか一方の処理だけが実行され、もう一方の処理は失敗する。これにより、口座残高がマイナスになることを防ぐ。

Durability(永続性)

振込処理が完了し、システムが「処理完了」と確認した場合、その結果はデータベースに永続的に保存される。その後、システム障害や停電などが発生しても、振込処理の結果は失われることはない。つまり、口座Aから口座Bへの1万円の振込は、システムが復旧した後も有効である。

ACID特性とCAP定理の違い

ACID特性とCAP定理は、どちらもデータ管理における重要な概念だが、その対象範囲と焦点は異なる。

特徴 ACID特性 CAP定理
対象範囲 単一のデータベースシステム 分散システム
焦点 トランザクション処理の信頼性、データの整合性 データ管理のトレードオフ、一貫性・可用性・分断耐性のバランス
目的 データベースシステムにおけるデータの正確性と信頼性を保証する 分散システムにおけるデータ管理の課題と限界を理解し、適切な設計を行う
保証する特性 原子性、一貫性、独立性、永続性 一貫性、可用性、分断耐性のうち、2つまで

ACID特性

ACID特性は、単一のデータベースシステムにおけるトランザクション処理の信頼性を保証するための4つの性質(Atomicity、Consistency、Isolation、Durability)の頭文字を取ったものである。

ACID特性は、データベースシステムがデータの整合性を維持し、障害発生時にもデータを復旧できることを保証する。これは、金融システムや在庫管理システムなど、データの正確性が非常に重要なシステムにおいて特に重要である。

CAP定理

一方、CAP定理は、分散システムにおけるデータ管理のトレードオフを説明する定理である。CAP定理は、Consistency(一貫性)、Availability(可用性)、Partition tolerance(分断耐性)の3つの特性のうち、同時に2つまでしか満たせないことを示している。

CAP定理は、分散システムにおいて、全てのノードで常に同じデータを参照すること(一貫性)、常にシステムが稼働しておりリクエストに応答できること(可用性)、ネットワーク分断が発生してもシステムが継続して動作できること(分断耐性)の3つの特性を同時に満たすことは不可能であることを示している。

 

まとめ

ACID特性は、データベースにおけるデータの信頼性を保証するための重要な概念である。原子性、一貫性、独立性、永続性という4つの性質によって、データベースシステムは、安全かつ正確にデータを処理することができる。これらの特性を理解することで、データベースシステムの設計や運用において、より適切な判断を下すことができるだろう。

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