コンパイラとは?仕組みなどをわかりやすく解説

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コンパイラは、高水準言語で書かれたプログラムを、コンピュータが実行可能な形に変換するソフトウェアである。




コンパイラの概要

高水準言語とは、人間にとって理解しやすい言語である。一方、コンピュータは機械語と呼ばれる、0と1の組み合わせで表された言語しか理解できない。コンパイラは、高水準言語で書かれたプログラムを、機械語に変換することで、コンピュータプログラムを実行できるようにする。

コンパイラは、プログラミングを行う上で欠かせないソフトウェアである。プログラムを作成するには、まず高水準言語でソースコードを記述する必要がある。そして、コンパイラを使ってソースコードを機械語に変換することで、プログラムを実行できるようになる。

コンパイラの用途

組み込みシステムの開発

組み込みシステムとは、家電製品や自動車などに搭載されているコンピュータシステムである。組み込みシステムでは、実行速度やメモリ使用量の効率化が重要であるため、コンパイラがよく利用される。

OSの開発

OSとは、コンピュータの基本的な機能を提供するソフトウェアである。OSの開発では、実行速度やメモリ使用量の効率化に加えて、セキュリティや安定性の確保も重要であるため、コンパイラがよく利用される。

アプリケーションソフトウェアの開発

アプリケーションソフトウェアとは、ユーザーが利用するソフトウェアである。アプリケーションソフトウェアの開発では、実行速度や可搬性のバランスが重要であるため、コンパイラとインタプリタ型のプログラミング言語を組み合わせて利用されることもある。

科学技術計算

科学技術計算とは、物理学や化学などの分野で用いられる計算である。科学技術計算では、実行速度が重要であるため、コンパイラがよく利用される。

ゲーム開発

ゲーム開発では、実行速度が重要であるため、コンパイラがよく利用される。また、3Dゲームの開発では、メモリ使用量の効率化も重要であるため、コンパイラがよく利用される。

コンパイラの仕組み

コンパイラの動作は、以下の3つのステップに分けられる。

トークン化

トークン化では、ソースコードを単語や記号などのトークンに分割する。トークンには、以下のようなものがある。

  • 識別子(変数や関数の名前)
  • 演算子(加算や減算などの演算記号)
  • キーワード(ifやforなどの制御構文)
  • リテラル(数値や文字列などの値)
  • 空白文字(スペースや改行などの空白)

トークン化では、以下の2つの処理を行う。

識別子や演算子などのトークンに分割する

識別子は、変数や関数の名前を表すトークンである。演算子は、加算や減算などの演算記号を表すトークンである。

コメントや空白文字などの不要な部分を削除する

コメントは、プログラムの説明や処理の流れを記述するためのもので、プログラムの実行には影響しない。空白文字は、プログラムの見やすさや可読性を向上させるために使用される。

構文解析

構文解析では、トークンを組み合わせて、文法的に正しい構文を生成するためのステップである。構文解析では、以下の2つの処理を行う。

トークンの順序や組み合わせを検証する

トークンの順序や組み合わせが、プログラミング言語の文法に違反していないかどうかを検証する。

トークンを構文要素に分類する

トークンを、プログラミング言語の文法要素に分類する。構文要素には、以下のようなものがある。

  • 式(数値や文字列などの値を計算する式)
  • 文(条件分岐や繰り返しなどの処理を行う文)
  • 関数(処理をまとめたプログラム)

コード生成

コード生成では、構文解析で生成された構文要素を、機械語に変換するステップである。コード生成では、以下の2つの処理を行う。

構文要素を、機械語に対応する命令に置き換える

構文要素を、機械語の命令に置き換える。

命令を、メモリ上に配置する

命令を、メモリ上に配置して、実行できるようにする。

コンパイラの最適化

また、コンパイラは、プログラムの実行速度やメモリ使用量を向上させるために、さまざまな最適化を行う。最適化の種類は、大きく分けて以下の3つに分類できる。

コード生成の最適化

コード生成の最適化は、ソースコードを機械語に変換する際に、コードの構造を変更することで、実行速度やメモリ使用量を向上させる最適化である。代表的な最適化手法としては、以下のようなものが挙げられる。

  • ループ展開:ループを展開することで、繰り返し処理を効率化する。
  • 演算の合成:複数の演算を合成することで、演算回数を減らす。
  • 条件分岐の削除:条件分岐の条件が常に真または常に偽である場合、条件分岐を削除することで、実行速度を向上させる。

データフローの最適化

データフローの最適化は、データの流れを分析して、不要な処理やデータの移動を削除することで、実行速度やメモリ使用量を向上させる最適化である。代表的な最適化手法としては、以下のようなものが挙げられる。

  • 定数折り畳み:定数値の計算を、実行時にではなくコンパイル時に行うことで、実行速度を向上させる。
  • 不要な変数の削除:使用されない変数を削除することで、メモリ使用量を削減する。
  • リネーム:変数名を変更することで、データの流れを改善する。

レジスタ割り当ての最適化

レジスタ割り当ての最適化は、レジスタにデータを格納することで、メモリアクセスの回数を減らし、実行速度を向上させる最適化である。代表的な最適化手法としては、以下のようなものが挙げられる。

  • 最適なレジスタの選択:データを格納するのに最適なレジスタを選択することで、メモリアクセスの回数を減らす。
  • レジスタの再割り当て:計算結果や不要になったデータを他のレジスタに割り当てることで、メモリアクセスの回数を減らす。

コンパイラは、これらの最適化手法を組み合わせることで、プログラムの実行速度やメモリ使用量を向上させる。最適化の程度は、コンパイラや設定により異なる。最適化を行うことで、コードの複雑さが増す場合があり、デバッグの難易度が高くなることもあるため注意して行う必要がある。

コンパイラとインタプリタの違い

コンパイラと同様にプログラムを実行する仕組みとして、インタプリタがある。インタプリタは、ソースコードを逐次解析して実行するソフトウェアである。コンパイラとインタプリタの違いは、以下の表の通りである。

項目 コンパイラ インタプリタ
動作 ソースコードを一度だけ解析 ソースコードを逐次解析
実行速度 速い 遅い
メモリ使用量 少ない 多い
機械語の依存性 高い 低い

インタプリタと比較してのコンパイラのメリット・デメリットの詳細は以下の通り。

コンパイラのメリット

1. ソースコードを機械語に変換する

コンパイラは、ソースコードを機械語に変換する。機械語は、コンピュータが直接理解できる言語である。インタプリタと異なり、コンパイラによって機械語に変換されたプログラムは、コンピュータが直接実行することができる。

2. 実行速度が速い

また、コンパイルされたプログラムは、実行時に機械語を直接実行するため、実行速度が速い。これは、インタプリタ型のプログラミング言語と比較して大きなメリットである。

3. プログラムのサイズが小さい

コンパイルされたプログラムは、実行時に必要な機械語のみをメモリ上に配置するため、プログラムのサイズが小さい。これは、実行速度を向上させるだけでなく、メモリ使用量を削減する効果もある。

4. プログラムの可搬性が低い

コンパイルされたプログラムは、特定のコンピュータの機械語に依存するため、別のコンピュータでは実行できない。これは、インタプリタ型のプログラミング言語と比較して大きなデメリットである。

5. エラーの早期発見が可能

コンパイラは、ソースコードを機械語に変換する際に、構文エラーやセマンティックエラーを検出できる。これは、プログラムの開発を効率化するために重要な機能である。

コンパイラのデメリット

1. デバッグが難しい

コンパイラ型言語では、ソースコードを一度に機械語に変換するため、コンパイル時にエラーが発生すると、プログラム全体を再コンパイルする必要がある。そのため、デバッグの難易度が高くなる。

インタプリタ型言語では、ソースコードを逐次実行するため、エラーが発生した場合でも、その行のソースコードを修正すれば、実行ファイルの再コンパイルは不要である。

2. ソースコードと実行ファイルが分離されている

コンパイラ型言語では、ソースコードを機械語に変換して、実行ファイルとして出力する。そのため、ソースコードと実行ファイルが分離されている。

インタプリタ型言語では、ソースコードを直接実行するため、ソースコードと実行ファイルが同じである。

3. 柔軟性に欠ける

コンパイラ型言語では、コンパイル時に最適化を行うため、ソースコードを修正しても、実行ファイルに反映されないことがある。

インタプリタ型言語では、ソースコードを逐次実行するため、ソースコードを修正すれば、すぐに実行ファイルに反映される。

コンパイラは、実行速度やメモリ使用量の点でインタプリタに優れる。しかし、インタプリタは、ソースコードを逐次解析するため、コンパイル時にエラーが見つかった場合は、ソースコードの修正後に再度実行する必要がある。一方、コンパイラは、コンパイル時にエラーが見つかった場合は、コンパイルの段階でエラーを修正できる。

例えば、組み込みシステムやサーバーアプリケーションなどの、実行速度が重視される分野では、コンパイラ型言語がよく用いられる。一方、スクリプト言語やWebアプリケーションなどの、柔軟性が重視される分野では、インタプリタ型言語がよく用いられる。

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