ブラックボックステストとは?種類やメリットなどをわかりやすく解説

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ブラックボックステストとは、ソフトウェアの内部構造や動作を理解せずに、テスト対象の機能や仕様に基づいてテストを行う手法である。




ブラックボックステストの観点

ブラックボックステストでは、テスト対象を「中の見えない箱」として捉え、入力と出力の整合性を確認する。具体的には以下の2つの観点分類される。

機能観点

機能観点は、システムの機能が仕様通りに動作するかどうかを検証する観点である。

具体的には、以下の項目を検証する。

* 入力値の範囲や値の型、値の組み合わせなどに基づく入力値の検証
* 出力値の値や形式、出力値の組み合わせなどに基づく出力値の検証
* 正常な入力値に対する正常な出力値の検証
* 異常な入力値に対する正常な出力値の検証
* 異常な入力値に対する異常な出力値の検証

ユーザビリティ観点

ユーザビリティ観点は、システムの使いやすさを検証する観点である。ユーザビリティ観点の検証を十分に行うことにより、システムがユーザにとって使いやすいものになる。

具体的には、以下の項目を検証する。

* 画面のレイアウトや色使い、フォントサイズなどの視覚的な要素の検証
* 操作性や入力しやすさなどの操作的な要素の検証
* エラーメッセージやヘルプなどのユーザガイダンスの検証

ブラックボックステストの種類

ブラックボックステストには、以下の種類がある。

等価分割法

等価分割法は、テスト対象の機能や仕様の範囲を、等価な分割に分け、それぞれの分割に対してテストを行う手法である。

等価分割法では、テスト対象の機能や仕様の範囲を、機能的に同等な分割に分けていく。例えば、数字の入力を想定している機能であれば、数字の範囲を、正の整数、負の整数、小数、文字列、空文字列などに分割することができる。

各分割に対して、適切な入力値や入力条件を組み合わせてテストを行うことで、不具合を発見することができる。

境界値分析

境界値分析は、テスト対象の機能や仕様の範囲の境界値に対して、テストを行う手法である。

境界値分析では、テスト対象の機能や仕様の範囲の境界値に注目する。例えば、数字の入力を想定している機能であれば、正の最大値、正の最小値、負の最大値、負の最小値、0などの境界値に対してテストを行う。

境界値は、テスト対象の機能や仕様の範囲の境界となるため、不具合が発生しやすい箇所である。境界値分析を実施することで、不具合の発見率を高めることができる。

回帰テスト

回帰テストは、既存のテストで発見した不具合を修正した後に、修正の影響で新たな不具合が発生していないかどうかをテストする手法である。

回帰テストでは、既存のテストで使用したテストケースを再度実行する。修正の影響で、既存のテストケースで不具合が発生していないかを確認する。

回帰テストを実施することで、修正によって新たな不具合が発生していないことを確認することができる。

負のテスト

負のテストは、テスト対象の機能や仕様の範囲で、意図的に不正な入力や操作を行うことで、想定外の動作が発生していないかどうかをテストする手法である。

負のテストでは、テスト対象の機能や仕様の範囲で、正しい入力や操作とは異なる入力や操作を行う。例えば、数字の入力を想定している機能であれば、文字列や空文字列を入力する。

負のテストを実施することで、想定外の動作が発生していないことを確認することができる。

異常値テスト

異常値テストは、テスト対象の機能や仕様の範囲で、極端な入力や操作を行うことで、想定外の動作が発生していないかどうかをテストする手法である。

異常値テストでは、テスト対象の機能や仕様の範囲で、正常な動作を想定できないような入力や操作を行う。例えば、数字の入力を想定している機能であれば、極めて大きな数値や極めて小さな数値を入力する。

ユーザ観察テスト

ユーザビリティ観点の検証で用いられる。ユーザ観察テストは、ユーザがシステムを使って実際に操作する様子を観察する手法である。

これらのブラックボックステストの種類を組み合わせて実施することで、ソフトウェアの品質をより高めることができる。

ブラックボックステストのメリット

ブラックボックステストのメリットは、以下のとおりである。

テストの実施が容易である

ブラックボックステストは、テスト対象の内部構造や動作を理解する必要がないため、テストの実施が容易である。テスト対象の機能や仕様を理解していれば、誰でも簡単にテストを実施することができる。

仕様通りに動作するかを確認しやすい

ブラックボックステストは、テスト対象の機能や仕様に基づいてテストを行うため、仕様通りに動作するかを確認しやすい。テスト対象のさまざまな入力値や入力条件を組み合わせてテストすることで、仕様を満たしていない不具合を発見することができる。

不具合の発見率が高い

ブラックボックステストは、テスト対象のさまざまな入力値や入力条件を組み合わせてテストを行うため、不具合の発見率が高い。テスト対象の内部構造や動作に依存する不具合も発見できる可能性がある。

ブラックボックステストのデメリット

ブラックボックステストは、ソフトウェアの内部構造や動作を理解せずに、テスト対象の機能や仕様に基づいてテストを行う手法である。ブラックボックステストのデメリットは、以下のとおりである。

不具合の原因特定が難しい場合がある

ブラックボックステストでは、テスト対象の内部構造や動作を理解していないため、不具合の原因特定が難しい場合がある。不具合が発生した箇所を特定できないと、不具合を修正することが困難になる。

内部構造や動作に依存する不具合を発見できない場合がある

ブラックボックステストは、テスト対象の機能や仕様に基づいてテストを行うため、内部構造や動作に依存する不具合を発見できない場合がある。

ブラックボックステストとホワイトボックステストの違い

ソフトウェアのテスト技法としてホワイトボックステストがある。ブラックボックステストとホワイトボックステストの違いは、テスト対象に対する視点の違いである。ブラックボックステストは、テスト対象を「中の見えない箱」として捉えて、入力と出力の整合性を確認する。一方、ホワイトボックステストは、テスト対象を「中の見える箱」として捉えて、内部構造や動作を検証する。

ブラックボックステストとホワイトボックステストのそれぞれのメリットとデメリットは、以下のとおりである。

ブラックボックステストのメリット

  • ソフトウェアの内部構造や動作を理解する必要がないため、テストの実施が容易である
  • テスト対象の機能や仕様に基づいてテストを行うため、仕様通りに動作するかを確認しやすい
  • テスト対象のさまざまな入力値や入力条件を組み合わせてテストを行うため、不具合の発見率が高い

ブラックボックステストのデメリット

  • ソフトウェアの内部構造や動作を理解していないため、不具合の原因を特定することが難しい場合がある
  • テスト対象の内部構造や動作に依存する不具合を発見できない場合がある

ホワイトボックステストのメリット

  • テスト対象の内部構造や動作を理解しているため、不具合の原因を特定しやすい
  • テスト対象の内部構造や動作に依存する不具合を発見しやすい

ホワイトボックステストのデメリット

  • ソフトウェアの内部構造や動作を理解する必要があり、テストの実施が困難な場合がある
  • テスト対象の機能や仕様を十分に理解していないと、不具合を発見できない場合がある

ブラックボックステストとホワイトボックステストは、どちらか一方のみを実施するのではなく、組み合わせて実施することで、ソフトウェアの品質をより高めることが可能である。

例えば、ブラックボックステストで仕様通りに動作するかを確認した後に、ホワイトボックステストで内部構造や動作に依存する不具合を発見するといった方法が考えられる。

また、ブラックボックステストでは検出が難しい不具合を発見するために、ホワイトボックステストを実施することも有効である。

このように、ブラックボックステストとホワイトボックステストを組み合わせることで、ソフトウェアの品質を向上させることができる。

ブラックボックステストのツール

ブラックボックステストは、ソフトウェアの内部構造を理解せずにテストを行うため、テストの実施に比較的少ない時間と労力で行うことができる。そのため、ブラックボックステストの効率化を図るために、ブラックボックステストのツールが活用される。

ブラックボックステストのツールには、以下のようなものが挙げられる。

自動テストツール

自動テストツールは、テストケースを自動的に実行するツールである。自動テストツールを使用すると、テストの実施を効率化することができる。

代表的な自動テストツールとしては、以下のようなものが挙げられる。

* Selenium(Webアプリケーション)
* Appium(モバイルアプリケーション)
* Ranorex(Windowsアプリケーション)

テスト管理ツール

テスト管理ツールは、テストケースやテスト結果を管理するツールである。テスト管理ツールを使用すると、テストの実施状況を把握し、テストの品質を向上させることができる。

代表的なテスト管理ツールとしては、以下のようなものが挙げられる。

* Zephyr(Java)
* TestRail(Webアプリケーション)
* ALM Octane(Webアプリケーション)

テストデータ生成ツール

テストデータ生成ツールは、テストに必要なデータを自動的に生成するツールである。テストデータ生成ツールを使用すると、テストの実施を効率化することができる。

代表的なテストデータ生成ツールとしては、以下のようなものが挙げられる。

* Random Data Generator(Webアプリケーション)
* Faker(Python)
* Faker.js(JavaScript)

ブラックボックステストのツールは、ソフトウェアの種類や開発状況に応じて、適切なツールを選択することが重要である。

例えば、Webアプリケーションの開発において、自動テストを効率的に行うためには、自動テストツールを使用する必要がある。また、テストの実施状況を把握し、テストの品質を向上させるためには、テスト管理ツールを使用すると効果的である。

ブラックボックステストのツールの活用により、ブラックボックステストの実施を効率化することができ、ソフトウェアの品質を向上させることができる。

なお、ブラックボックステストのツールの中には、ホワイトボックステストの機能も備えているものもある。このようなツールを使用すると、ホワイトボックステストとブラックボックステストを組み合わせて、より効果的なテストを行うことができる。

ブラックボックステストのまとめ

ブラックボックステストは、ソフトウェアの内部構造や動作を理解せずに、テスト対象の機能や仕様に基づいてテストを行う手法である。テストの実施が容易で、不具合の発見率が高いというメリットがある。しかし、ソフトウェアの内部構造や動作を理解していないため、不具合の原因を特定することが難しい場合があるというデメリットもある。

ブラックボックステストは、ソフトウェアテストの基本的な手法の一つであり、ホワイトボックステスト等のさまざまなテスト手法と組み合わせて活用することで、ソフトウェアの品質を向上させることができる。

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