メッシュネットワークとは、ノード(ネットワーク機器)同士が相互に接続されたネットワークの一種である。ノードが複数の接続先を持つため、任意のノードから任意のノードへデータが転送可能である。
メッシュネットワークの仕組み
メッシュネットワークの仕組みは、大きく分けて以下の3つに分けられる。
機器の接続
メッシュネットワークを構成する機器は、それぞれが「ルーター」や「アクセスポイント」などの機能を備えている。これらの機器は、お互いに「ワイヤレス」または「有線」で接続される。
ワイヤレス接続では、IEEE 802.11acやIEEE 802.11axなどの無線LAN規格が使われる。有線接続では、イーサネットケーブルが使われる。
通信経路の選択
メッシュネットワークでは、通信経路は、機器同士の距離や信号強度などに基づいて、自動的に選択される。
例えば、A地点からB地点への通信を行う場合、A地点からB地点までの最短距離または最強の信号強度を持つ経路が選択される。
通信の管理
メッシュネットワークでは、各機器が通信の管理を行う。
例えば、ある機器が障害によって通信不能になった場合、他の機器が通信経路を迂回して、障害地点を回避する。
また、メッシュネットワークでは、機器の追加や削除が容易に行われる。
例えば、新しい機器を追加した場合、その機器は自動的にメッシュネットワークに参加する。
メッシュネットワークの種類
メッシュネットワークは、ノード同士の接続方法によって、大きく分けて「完全接続メッシュネットワーク」と「非完全接続メッシュネットワーク」の2種類がある。
完全接続メッシュネットワーク
すべてのノードが相互に接続されているネットワークである。障害に最も強く、信頼性の高いネットワークを構築することができる。
完全接続メッシュネットワークでは、すべてのノードが直接、または複数のノードを通して他のノードと接続されている。そのため、あるノードが障害を起こしても、他のノード経由で通信が可能である。
完全接続メッシュネットワークは、以下の特徴を持つ。
- 障害に強い
- 信頼性が高い
- 拡張性が高い
- コストが高い
非完全接続メッシュネットワーク
すべてのノードが相互に接続されていないネットワークである。完全接続メッシュネットワークに比べると障害への強度は劣るが、コストを抑えてネットワークを構築することができる。
非完全接続メッシュネットワークでは、すべてのノードが直接接続されているわけではなく、複数のノードからなるグループ(セル)ごとに接続されている。そのため、あるグループ内のノードが障害を起こした場合、そのグループ内では通信が不可能になる。
非完全接続メッシュネットワークは、以下の特徴を持つ。
- 障害への強度は劣る
- 信頼性は低い
- 拡張性は高い
- コストが安い
完全接続メッシュネットワークと非完全接続メッシュネットワークの比較は、以下の表の通りである。
項目 | 完全接続メッシュネットワーク | 非完全接続メッシュネットワーク |
---|---|---|
障害への強度 | 高い | 低い |
信頼性 | 高い | 低い |
拡張性 | 高い | 高い |
コスト | 高い | 安い |
完全接続メッシュネットワークと非完全接続メッシュネットワークのどちらを選択するかは、ネットワークの用途や予算によって判断する必要がある。
障害に強く、信頼性の高いネットワークを構築したい場合は、完全接続メッシュネットワークが適している。一方、コストを抑えてネットワークを構築したい場合は、非完全接続メッシュネットワークが適している。
メッシュネットワークのメリット
障害への強さ
メッシュネットワークでは、あるノードが障害を起こしても、他のノード経由で通信を継続することができる。そのため、ネットワークの信頼性を高めることができる。
例えば、工場や倉庫などの広範囲をカバーするネットワークを構築する場合、従来のネットワークでは、障害が発生すると、そのエリア内の通信がすべて停止してしまう。しかし、メッシュネットワークでは、障害が発生しても、他のノード経由で通信を継続できるため、生産や物流への影響を最小限に抑えることができる。
また、災害時に、従来の通信ネットワークが使用不能になった場合にも、メッシュネットワークを活用することで、代替の通信ネットワークを構築することができる。
拡張性
メッシュネットワークでは、ノードを追加することで、ネットワークの規模を容易に拡張することができる。そのため、ネットワークの規模拡大に柔軟に対応することができる。
例えば、家庭やオフィスの無線LANを構築する場合、従来のネットワークでは、アクセスポイント(AP)を設置する場所や数に制限があった。しかし、メッシュネットワークでは、APを追加することで、容易にエリアを拡大することができる。
コストの安さ
メッシュネットワークでは、専用機器を必要としないため、コストを抑えてネットワークを構築することができる。
例えば、家庭やオフィスの無線LANを構築する場合、従来のネットワークでは、アクセスポイント(AP)やスイッチなどの専用機器が必要であった。しかし、メッシュネットワークでは、これらの専用機器を必要としないため、コストを抑えてネットワークを構築することができる。
メッシュネットワークの活用例
メッシュネットワークは、その特徴から、以下の用途で広く利用されている。
家庭やオフィスの無線LAN
家やオフィスの広いエリアをカバーする無線LANを構築するために利用される。従来の無線LANでは、アクセスポイント(AP)を設置する場所や数に制限があったが、メッシュネットワークでは、APを追加することで、容易にエリアを拡大することができる。
工場や倉庫などの産業用ネットワーク
障害に強く、広範囲をカバーするネットワークを構築するために利用される。工場や倉庫では、機器や設備が広範囲に配置されているため、ネットワークの障害が発生すると、生産や物流に大きな影響を与える。メッシュネットワークは、障害が発生しても、他のノード経由で通信を継続できるため、信頼性の高いネットワークを構築することができる。
災害時の通信ネットワーク
災害時に、従来の通信ネットワークが使用不能になった場合に、代替の通信ネットワークとして利用される。災害時には、携帯電話や固定電話などの通信ネットワークが使用不能になることがある。メッシュネットワークは、無線通信を利用するため、災害時でも比較的容易に構築することができる。
その他の活用例
その他にも、以下のような用途でメッシュネットワークが活用されている。
- スマートシティ
- スマート農業
- スマートビルディング
- スマート交通
- ドローン
まとめ
メッシュネットワークは、通信範囲が広く、障害に強く、導入が容易なネットワークである。そのため、広いエリアをカバーするネットワークや、障害に強いネットワークを構築する際に適している。