クリックジャッキングとは、Webサイトの利用者に対して、悪意を持って使用される技術の一種で、リンクやボタンなどの要素を隠蔽・偽装してクリックを誘い、利用者の意図しない動作をさせようとする手法である。
クリックジャッキングの仕組み
クリックジャッキングは、主に以下の2つの手法によって行われる。
- 「iframe」タグを使用した手法
この手法では、悪意のあるWebサイトが、利用者が閲覧しているWebサイト内に、iframeタグを使用して、透明なウィンドウを埋め込む。このウィンドウには、クリックジャッキング攻撃を行うためのリンクやボタンなどが含まれており、利用者が本来のWebサイトのリンクやボタンをクリックすると、同時にiframeタグ内のリンクやボタンもクリックされることになる。
- 「CSS」を使用した手法
この手法では、悪意のあるWebサイトが、利用者が閲覧しているWebサイトのCSSを書き換えて、リンクやボタンなどの要素を隠蔽・偽装する。これにより、利用者は本来のWebサイトのリンクやボタンをクリックしたつもりでも、実際には悪意のあるWebサイトのリンクやボタンをクリックしてしまうことになる。
クリックジャッキングによる被害
- 意図しない商品の購入
攻撃者は、ユーザーが訪問するWebサイトに、意図しない商品の購入を促すリンクを埋め込む。ユーザーがそのリンクをクリックすると、意図せずに商品の購入画面が表示され、購入してしまう。
- 意図しない送金
攻撃者は、ユーザーが訪問するWebサイトに、意図しない送金先を指定させるリンクを埋め込む。ユーザーがそのリンクをクリックすると、意図せずに送金先が変更され、送金してしまう。
- 情報漏洩
クリックジャッキングによって、ユーザーの個人情報やクレジットカード情報などの重要な情報が漏洩する可能性がある。これにより、被害者は詐欺やなりすましなどの被害を受ける可能性がある。
- システムへの侵入
クリックジャッキングによって、ユーザーのパソコンやスマートフォンなどのシステムに侵入され、乗っ取られる可能性がある。これにより、被害者はパソコンやスマートフォンの使用ができなくなるだけでなく、個人情報やクレジットカード情報などの重要な情報が盗まれる可能性がある。
クリックジャッキングの事例
2019年には、Twitterでクリックジャッキング攻撃が行われ、被害者が意図せずに「いいね!」ボタンをクリックしてしまう事例が発生した。この攻撃では、Twitterの公式アカウントを装ったアカウントから、クリックジャッキング攻撃を行うWebサイトへのリンクが投稿された。被害者は、そのリンクをクリックすると、意図せずに「いいね!」ボタンをクリックしてしまう。
2020年には、インターネットバンキングのWebサイトを装ったクリックジャッキング攻撃が行われ、被害者が意図せずに送金してしまう事例が発生した。この攻撃では、インターネットバンキングのWebサイトに似せたWebサイトが作成され、そのWebサイトにアクセスしたユーザーが、意図せずに送金画面が表示され、送金してしまう。
クリックジャッキングの対策
クリックジャッキングは、Webサイトを閲覧する際に誰もが被害に遭う可能性がある。そのため、以下の点に注意して、クリックジャッキング被害を防止することが重要である。
- 怪しいリンクやボタンはクリックしない
たとえ、普段利用しているWebサイトのリンクやボタンであっても、怪しい場合はクリックしない。
- ブラウザのセキュリティ設定を常に最新に保つ
ブラウザのセキュリティ設定を最新に保つことで、クリックジャッキング攻撃のリスクを低減することができる。
- 「X-Frame-Options」ヘッダーを利用する
Webサイトの開発者が、X-Frame-Optionsヘッダーを設定することで、iframeタグを使用してWebサイトを埋め込むことを制限することができる。
- 「Content-Security-Policy」ヘッダーを利用する
Webサイトの開発者が、Content-Security-Policyヘッダーを設定することで、Webサイトに読み込むことができるコンテンツを制限することができる。
まとめ
クリックジャッキングとは、Webサイトの利用者に対して、悪意を持って使用される技術の一種で、リンクやボタンなどの要素を隠蔽・偽装してクリックを誘い、利用者の意図しない動作をさせようとする手法である。
怪しいリンクやボタンは、たとえ普段利用しているWebサイトのものであったとしても、クリックしないことが大切である。また、WebサイトのURLや表示内容に不審な点がある場合は、そのWebサイトの信頼性を確認する必要がある。
ブラウザのセキュリティ設定を最新に保つことで、クリックジャッキング攻撃のリスクを低減することができる。また、Webサイトの開発者が、X-Frame-OptionsヘッダーやContent-Security-Policyヘッダーを設定することで、クリックジャッキング攻撃を防止することができる。
クリックジャッキングは、被害の程度が大きい場合もあるため、十分に注意して、被害を防止するように心がけることが重要である。