アドウェアとは?仕組みや対策などをわかりやすく解説

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アドウェア(Adware)は、ユーザーの許可なく広告を表示するソフトウェアである。

多くの場合、無料ソフトウェアに紛れ込んでインストールされ、ユーザーの行動を追跡し、ターゲット広告を配信することで収益を上げる。その結果、ユーザーは意図しない広告に煩わされ、プライバシーやセキュリティのリスクにさらされることになる。




アドウェアの仕組み

アドウェアは主に以下のような方法で動作する。

  1. インストール経路

    アドウェアは、フリーソフトウェアやシェアウェアのインストール時に一緒にインストールされることが多い。ユーザーがソフトウェアインストール時に細かい設定を確認せず、「次へ」ボタンを連打すると、アドウェアがシステムに入り込む余地が生まれる。特に「推奨インストール」や「標準インストール」を選択すると、不要なソフトウェアが自動的に追加されるケースがある。

  2. 広告表示の手法

    アドウェアは、以下の方法で広告を表示する。

    • ポップアップ広告: ウェブブラウザを開いているときに、突然新しいウィンドウやタブが開き、広告が表示される。
    • インライン広告: ウェブページ内の特定のキーワードにリンクを埋め込み、マウスオーバーすると広告が表示される。
    • リダイレクト: ユーザーが特定のウェブサイトにアクセスしようとすると、別の広告サイトに自動的にリダイレクトされる。
  3. ユーザーデータの収集

    アドウェアは、ユーザーのウェブ閲覧履歴、検索キーワード、クリックした広告などのデータを収集する。これらの情報は、より効果的なターゲット広告を配信するため、または第三者に販売されることがある。データ収集の手段としては、Cookie、トラッキングピクセル、ブラウザ拡張機能などが用いられる。

  4. システムへの影響

    アドウェアがバックグラウンドで常時動作することで、システムリソースを消費し、パソコンやスマートフォンの動作が遅くなる原因となる。また、ネットワーク帯域を占有し、インターネットの速度低下を引き起こすこともある。

アドウェアの例

  1. Eorezo

    フランス発のアドウェアで、無料ソフトウェアのインストール時に一緒にインストールされる。ユーザーの許可なく広告を表示し、ウェブブラウザの設定を変更することで知られている。デフォルトの検索エンジンホームページを勝手に変更し、ユーザーを特定の広告サイトに誘導する。

  2. Fireball

    中国のデジタルマーケティング会社が開発したアドウェアで、世界中で2億5,000万台以上のコンピュータに感染したとされる。ブラウザの乗っ取りや、ユーザーデータの収集、さらには他のマルウェアダウンロードも可能であるため、単なるアドウェアの枠を超えた脅威となっている。

  3. DollarRevenue

    無料のスクリーンセーバーやゲームに紛れてインストールされるアドウェアで、ポップアップ広告を大量に表示する。システムファイルを改変し、通常の手段ではアンインストールが困難なため、ユーザーに大きなストレスを与える。

  4. Gator (Claria Corporation)

    かつて広く知られたアドウェアで、ユーザーのウェブ閲覧行動を監視し、関連する広告を表示する。ユーザー情報の収集と共有が問題視され、多くのセキュリティ企業から警告を受けた。

これらのアドウェアは、ユーザーの許可なくシステムに入り込み、広告を表示するだけでなく、プライバシーの侵害やシステムのパフォーマンス低下といった深刻な問題を引き起こす。

アドウェアの対策

アドウェアから身を守るためには、以下の対策が有効である。

  1. 信頼できるセキュリティソフトの導入

    ウイルス対策ソフトやアンチマルウェアソフトをインストールし、最新の状態に保つことが重要である。これらのソフトは、リアルタイムでシステムを監視し、アドウェアの侵入を防ぐことができる。

  2. ソフトウェアのインストール時の注意

    新しいソフトウェアをインストールする際は、必ず「カスタムインストール」や「詳細インストール」を選択し、不要な追加ソフトウェアが含まれていないか確認すること。利用規約やプライバシーポリシーも可能な限り目を通すことで、思わぬトラブルを防ぐ。

  3. 定期的なシステムチェック

    定期的にシステムの状態をチェックし、不審なプログラムプロセスが動作していないか確認する。タスクマネージャーやシステムモニターを活用して、未知のプロセスを見つけた場合は調査し、必要に応じて削除する。

  4. ブラウザのセキュリティ設定強化

    ブラウザの拡張機能やプラグインを定期的に見直し、不要なものや不審なものは削除する。ポップアップブロッカーやトラッキング防止機能を有効にすることで、アドウェアの影響を軽減できる。

  5. 信頼性の高いサイトからのみダウンロードする

    ソフトウェアやファイルダウンロードは、公式サイトや信頼できるダウンロードサイトから行うこと。不正なサイトからのダウンロードは、アドウェアや他のマルウェアの侵入リスクを高める。

  6. メールやメッセージの添付ファイルに注意

    不審なメールやメッセージの添付ファイルリンクを開かない。特に送信元が不明な場合や内容に心当たりがない場合は、削除することが安全である。

アドウェアとマルウェアの違い

アドウェアとマルウェアは混同されがちだが、目的や動作において明確な違いがある。

  • アドウェア
    • 目的: 広告を表示し、広告収入を得ること。
    • 動作: ユーザーの許可なく広告を表示し、ユーザーデータを収集する。システムへの直接的な破壊行為は行わないことが多い。
    • 合法性: 一部のアドウェアは利用規約に同意した上でインストールされるため、法的には問題とされない場合もある。
  • マルウェア
    • 目的: システムの破壊、データの盗難、金銭の詐取など悪意のある行為。
    • 動作: ウイルス、ワーム、トロイの木馬、ランサムウェアなど、多様な形態でシステムに侵入し、深刻な被害をもたらす。
    • 合法性: 不正アクセス禁止法やコンピュータウイルス作成罪などの法律により、厳しく罰せられる。

しかし、近年ではアドウェアが他のマルウェアをダウンロードする「ゲートウェイ」として機能するケースも増えており、両者の境界が曖昧になってきている。そのため、アドウェアもマルウェアの一種として扱われることがある。

まとめ

アドウェアは、ユーザーの同意なしに広告を表示し、プライバシーやシステムパフォーマンスに悪影響を及ぼすソフトウェアである。無料ソフトウェアに紛れてインストールされることが多く、知らぬ間にシステムに侵入する。その結果、煩わしい広告表示やプライバシーの侵害、システムの遅延などの問題が発生する。

アドウェアから身を守るためには、信頼性の高いセキュリティソフトの導入や、ソフトウェアインストール時の注意、定期的なシステムチェックが不可欠である。また、ブラウザのセキュリティ設定を強化し、信頼できるサイトからのみダウンロードを行うことで、アドウェアの侵入リスクを大幅に減らすことができる。

アドウェアとマルウェアは目的や動作に違いがあるものの、近年ではその境界が曖昧になりつつある。アドウェアが他のマルウェアを招き入れるケースも増えているため、アドウェアもマルウェアと同等の脅威として認識することが重要である。最終的には、ユーザー自身がセキュリティ意識を高め、慎重な行動を取ることで、アドウェアやその他のサイバー脅威から自分自身を守ることができる。

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