スループットとは、コンピュータやネットワーク機器が単位時間あたりに処理できるデータ量のこと。処理能力やデータ転送速度を表す指標として用いられる。
スループットの種類
スループットには様々な種類があり、それぞれ異なる意味合いを持っている。ここでは、代表的なスループットの種類と、それぞれの特徴について説明する。
1. ネットワークスループット
ネットワークスループットは、ネットワークを通じて送信できるデータ量を表す。単位時間あたりのビット数やバイト数で表され、ネットワークの性能を評価するために用いられる。ネットワークスループットは、以下の要素によって影響を受ける。
- 帯域幅: ネットワークの伝送速度
- 遅延: データ送信にかかる時間
- エラー率: データ送信時のエラー発生率
2. ファイルシステムスループット
ファイルシステムスループットは、ファイルシステムへの読み書き処理速度を表ます。単位時間あたりのバイト数で表され、ストレージの性能を評価するために用いられる。ファイルシステムスループットは、以下の要素によって影響を受けます。
- ストレージの種類: HDD、SSD、NVMeなど
- ファイルシステムの種類: ext4、ZFS、XFSなど
- I/O処理の負荷: 読み書き処理の同時実行数
3. CPUスループット
CPUスループットは、CPUが処理できる命令数を表す。単位時間あたりの命令数で表され、CPUの性能を評価するために用いられる。CPUスループットは、以下の要素によって影響を受ける。
- CPUのクロック周波数: 処理速度
- CPUのコア数: 並列処理能力
- キャッシュ容量: データアクセス速度
4. アプリケーションスループット
アプリケーションスループットは、アプリケーションが処理できるデータ量を表す。単位時間あたりのデータ量で表され、アプリケーションのパフォーマンスを評価するために用いられる。アプリケーションスループットは、以下の要素によって影響を受ける。
5. その他
上記以外にも、特定の処理やシステムに特化したスループット指標が存在する。例えば、データベーススループット、Webサーバースループット、ビデオストリーミングスループットなどが挙げられる。
スループットの測定方法
スループットの測定方法は、以下の2つに分類される。
1. ベンチマークツール
ベンチマークツールは、特定の処理を実行して、スループットを測定するツールである。代表的なベンチマークツールは以下の通り。
ベンチマークツールは、以下の手順で使用する。
- ベンチマークツールをインストールする
- ベンチマークを実行する
- 結果を分析する
ベンチマークツールを使用する際には、以下の点に注意する必要がある。
- 測定対象となるシステムの環境を考慮して、適切なベンチマークツールを選択する
- ベンチマークを実行する前に、システムのウォームアップを行う
- 複数の回ベンチマークを実行して、結果の平均値を取る
2. パフォーマンスモニター
パフォーマンスモニターは、システムのパフォーマンスを監視し、スループットを収集するツールである。代表的なパフォーマンスモニターは以下の通り。
- sar: システムリソースの使用状況を監視するツール
- vmstat: 仮想メモリの使用状況を監視するツール
- perf: CPUのパフォーマンスを監視するツール
パフォーマンスモニターは、以下の手順で使用する。
- パフォーマンスモニターをインストールする
- パフォーマンスモニターを実行する
- 結果を分析する
パフォーマンスモニターを使用する際には、以下の点に注意する必要がある。
- 収集するデータ項目を適切に選択する
- 収集するデータの期間を適切に設定する
- 収集したデータを分析して、システムのパフォーマンスの問題点を見つける
スループットを上げる方法
スループットとレイテンシの違い
スループットとレイテンシは、システムのパフォーマンスを評価する上で重要な指標である。しかし、両者は異なる概念であり、混同しないことが重要である。
スループットは、単位時間あたりに処理できるデータ量を表す指標である。処理能力やデータ転送速度を表す指標として用いられる。
一方、レイテンシは、処理開始から完了までの時間を表す指標である。処理の待ち時間や応答速度を表す指標として用いられる。
例
例として、Webブラウジングを例に説明する。
- スループットは、1秒間にダウンロードできるデータ量を表す。スループットが高ければ、Webページの読み込み速度が速くなる。
- レイテンシは、WebブラウザにURLを入力してから、Webページが表示されるまでの時間を表す。レイテンシが低ければ、Webページの表示が速くなる。
スループットとレイテンシは、トレードオフの関係にある。一般的に、スループットを向上させるためには、レイテンシが犠牲になる。逆に、レイテンシを低減するためには、スループットが犠牲になる。
まとめ
スループットは、システムのパフォーマンスを評価する上で重要な指標である。スループットが高ければ、処理速度が速くなり、データ転送時間も短縮される。これは、業務効率の向上やユーザー満足度の向上につながる。
スループットを理解し、向上させるための対策を講じることで、システムのパフォーマンスを向上させ、業務効率やユーザー満足度を向上させることができる。