サステナビリティITとは、環境や社会に配慮したITの利用や開発を指す。
ITは、データセンターの消費電力や情報機器の廃棄など、環境負荷が大きいことが問題視されている。また、ITは、社会のさまざまな分野に浸透しており、その利用によって社会課題の解決や持続可能な社会の実現にも貢献できる。
サステナビリティITは、これらの課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献するITの利用や開発である。
サステナビリティITの必要性
サステナビリティITが注目される背景には、以下の3つの要因が挙げられる。
SDGsの採択
2015年、国連で持続可能な開発目標(SDGs)が採択された。SDGsは、地球上の誰一人取り残さない持続可能な世界を実現するための目標であり、環境や社会への配慮が重要な要素となっている。
SDGsの採択により、企業や組織におけるサステナビリティへの取り組みが求められるようになり、サステナビリティITの導入や活用が進むようになった。
CSRやESG投資の拡大
企業の社会的責任(CSR)や環境・社会・ガバナンス(ESG)投資への関心が高まっている。CSRとは、企業が社会や環境に配慮した事業活動を行うことであり、ESG投資とは、ESGの要素を考慮した投資を行うことである。
CSRやESG投資の拡大により、企業はサステナビリティへの取り組みを積極的に行うことが求められるようになり、サステナビリティITの導入や活用が進むようになった。
テクノロジーの進歩
近年、テクノロジーの進歩により、環境や社会に配慮したITの活用が可能になってきた。例えば、クラウドコンピューティングやビッグデータ分析などの技術は、エネルギー効率の向上や環境負荷の低減に貢献することができる。
テクノロジーの進歩により、サステナビリティITの導入や活用のハードルが低くなり、より多くの企業や組織でサステナビリティITが活用されるようになった。
サステナビリティITの活用例
環境負荷の低減
- 省エネ型IT機器の導入
省エネ型のIT機器は、従来のIT機器に比べて消費電力が少ない。企業や政府は、省エネ型IT機器の導入を進めることで、IT関連の電力消費量の削減に取り組んでいる。
- クラウドコンピューティングの活用
クラウドコンピューティングは、インターネットを介して必要なITサービスを利用する仕組みである。クラウドコンピューティングを活用することで、自社でデータセンターを設置する必要がなくなり、IT関連の電力消費量を削減することができる。
- データセンターの効率化
データセンターは、IT機器を集中的に運用する施設であり、大きな電力を消費する。データセンターの効率化を進めることで、IT関連の電力消費量を削減することができる。
- 電子廃棄物の削減
電子廃棄物は、IT機器の製造や使用に伴って発生する廃棄物である。電子廃棄物の削減を進めることで、資源の有効活用や環境負荷の低減につながる。
社会課題の解決
- 気候変動対策
気候変動対策には、再生可能エネルギーの普及や、省エネの推進など、さまざまな取り組みが求められている。ITは、これらの取り組みを支援する役割を果たすことができる。
- 資源循環
資源循環の推進には、廃棄物の削減や、リサイクルの促進など、さまざまな取り組みが求められている。ITは、廃棄物の見える化や、リサイクルの効率化など、これらの取り組みを支援する役割を果たすことができる。
- 貧困や格差の解消
貧困や格差の解消には、教育や医療の普及、雇用の創出など、さまざまな取り組みが求められている。ITは、遠隔教育や遠隔医療の提供、就労支援など、これらの取り組みを支援する役割を果たすことができる。
- 健康や教育の向上
健康や教育の向上には、健康情報の提供や、オンライン学習の普及など、さまざまな取り組みが求められている。ITは、健康管理や学習支援など、これらの取り組みを支援する役割を果たすことができる。
サステナビリティITの取り組みは、企業や政府だけでなく、個人でもできることは多い。例えば、以下のようなものが挙げられる。
- 省エネ型IT機器の利用
省エネ型IT機器は、消費電力が少ないため、電気代を節約することができる。また、環境にも優しいため、持続可能な社会の実現に貢献することができる。
- クラウドコンピューティングの活用
クラウドコンピューティングを活用することで、自宅やオフィスにIT機器を設置する必要がなくなり、電気代やスペースの削減につながる。また、環境にも優しいため、持続可能な社会の実現に貢献することができる。
- データの削減
不要なデータを削減することで、ストレージの容量を節約することができる。また、電子廃棄物の削減にもつながる。
- 不要な電子機器の廃棄
不要になった電子機器は、適切に廃棄することが重要である。リサイクルに出すことで、資源の有効活用につながる。
サステナビリティITの具体的な取り組み例
サステナビリティITの取り組みは、世界中でさまざまな形で進められている。以下に、その一例を挙げる。
- Googleは、自社のデータセンターのエネルギー使用量を、2030年までに2010年比で半減させることを目標としている。また、再生可能エネルギーの使用拡大や、データセンターの効率化などにも取り組んでいる。
- Appleは、2030年までにすべての製品を製造する際に使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うことを目標としている。また、製品の製造工程における環境負荷の低減にも取り組んでいる。
- 日本政府は、2030年度までに、IT関連の電力消費量を2013年度比で20%削減することを目指している。また、クラウドコンピューティングの普及や、データセンターの効率化などにも取り組んでいる。
サステナビリティITの今後の展望
サステナビリティITは、今後ますます重要度を増していくと考えられる。
その理由として、以下の2つが挙げられる。
持続可能な社会の実現に向けての取り組みが加速
気候変動や資源枯渇など、地球環境や社会に深刻な影響を与える問題が顕在化している。こうした問題の解決に向けて、企業や政府、個人が一体となって取り組むことが求められている。サステナビリティITは、こうした取り組みの一翼を担うことができる。
IT技術の進展
IT技術は、ますます進展し、私たちの生活や社会に不可欠な存在となっている。こうしたIT技術を活用することで、より効果的に環境負荷の低減や社会課題の解決を実現することが可能になる。
まとめ
サステナビリティITとは、環境や社会に配慮したITの利用や開発である。サステナビリティITは、企業や組織のサステナビリティへの取り組みを支援する重要な手段となる。
サステナビリティITは、私たち一人ひとりが取り組むことで、より持続可能な社会を実現することにつながる。
サステナビリティITは、持続可能な社会の実現に向けて、大きな可能性を秘めている。今後、さらに多くの企業や政府、個人が取り組むことで、その可能性を最大限に引き出していきたい。