2要素認証とは、ID・パスワードに加えて、別の要素を組み合わせてユーザーを認証する仕組みである。
2要素認証の概要
2要素認証では、認証を行うために、以下の2つの要素が必要になる。
知識情報
知識情報とは、本人が知っている情報である。例えば、ワンタイムパスワードや、秘密の質問に対する答えなどが、知識情報に該当する。
ワンタイムパスワードとは、一定時間ごとに生成される、使い捨てのパスワードである。
秘密の質問とは、本人しか知らない質問に対する答えである。
所持情報または生体情報
所持情報または生体情報とは、本人が持っている情報または身体的な特徴である。例えば、トークンなどのデバイスや、スマートフォンなどの携帯端末、指紋や顔認証などが、所持情報または生体情報に該当する。
トークンとは、ワンタイムパスワードを生成するためのデバイスである。
スマートフォンなどの携帯端末は、指紋認証や顔認証などの生体認証をサポートしている場合がある。
2要素認証の流れ
2要素認証の流れは、以下のとおり。
2要素認証の種類
ワンタイムパスワード
ワンタイムパスワードは、毎回異なるパスワードを生成して認証を行う方法である。
ワンタイムパスワードの生成方法には、以下の2つがある。
スマートフォンアプリの場合、スマートフォンにインストールしたアプリから、ワンタイムパスワードを生成することができる。
ハードウェアトークンの場合、専用のハードウェアデバイスを使って、ワンタイムパスワードを生成することができる。
トークン
トークンは、専用のハードウェアデバイスを使って認証を行う方法である。
トークンは、ID・パスワードに加えて、トークンに発行された一意のIDと、トークン上で生成されるワンタイムパスワードを入力することで、認証を行う。
生体認証
生体認証は、指紋、顔、虹彩、静脈など、ユーザー固有の身体的特徴を使って認証を行う方法である。
生体認証は、ID・パスワードやトークンのように、忘れたり、盗まれたりすることがないため、非常に高いセキュリティを誇る。
2要素認証のメリット
2要素認証には、以下のメリットがある。
1. なりすましの防止
2要素認証では、IDとパスワードに加えて、別の要素を組み合わせて認証を行うため、なりすましを防止することができる。
例えば、IDとパスワードが盗まれたとしても、別の要素がなければ、ログインすることはできない。
2. アカウントの安全性の向上
2要素認証では、IDとパスワードに加えて、別の要素を組み合わせて認証を行うため、アカウントの安全性を向上させることができる。
例えば、パスワードが漏洩したとしても、別の要素がなければ、アカウントに不正アクセスされるリスクを低減することができる。
3. セキュリティ意識の向上
2要素認証を導入することで、ユーザーのセキュリティ意識を向上させることができる。
2要素認証を導入することで、ユーザーは、IDとパスワードに加えて、別の要素を組み合わせて認証を行うという、より強固なセキュリティ対策を認識することになる。
2要素認証の代表的なサービス
2要素認証は、さまざまなサービスで提供されている。
1. Google Authenticator
Google Authenticatorは、Googleが提供している2要素認証アプリである。
スマートフォンやタブレット端末にインストールして利用できる。
6桁のワンタイムパスワードを生成して、ログイン時に入力することで、認証を行う。
2. Authy
Authyは、Authy, Inc.が提供している2要素認証アプリである。
Google Authenticatorと同様に、スマートフォンやタブレット端末にインストールして利用できる。
Google Authenticatorとは異なり、複数の端末に同じアカウントを登録できるため、端末を紛失しても、認証を継続することができる。
3. Microsoft Authenticator
Microsoft Authenticatorは、Microsoftが提供している2要素認証アプリである。
Google AuthenticatorやAuthyと同様に、スマートフォンやタブレット端末にインストールして利用できる。
Microsoftアカウントの認証に利用できるほか、サードパーティのサービスでも利用できる。
4. YubiKey
YubiKeyは、Yubicoが提供しているハードウェアトークンである。
ワンタイムパスワードを生成したり、指紋認証や顔認証などの生体認証を利用したりして、認証を行う。
5. Google Titan Security Key
Google Titan Security Keyは、Googleが提供しているハードウェアトークンである。
YubiKeyと同様に、USBポートやNFCポートに接続して利用できる。
ワンタイムパスワードを生成したり、指紋認証や顔認証などの生体認証を利用したりして、認証を行う。
2要素認証の注意点
2要素認証は、セキュリティ性の向上に効果的であるが、注意点もある。
2要素認証サービスを提供するサービスのセキュリティに注意する必要がある。
2要素認証サービスを提供するサービスやツールのセキュリティが脆弱である場合、2要素認証による認証を突破されてしまう可能性がある。
そのため、2要素認証サービスを提供するサービスのセキュリティを評価した上で、導入するサービスやツールを選ぶようにする。
2要素認証アプリやハードウェアトークンを紛失したり、盗まれたりしないように注意する必要がある。
2要素認証アプリやハードウェアトークンを紛失したり、盗まれたりした場合、認証ができなくなり、アカウントに不正アクセスされるリスクが高まる。
そのため、2要素認証アプリやハードウェアトークンを紛失したり、盗まれたりしないように、適切な管理を行うようにする。
具体的には、以下のような対策を講じるとよい。
* 2要素認証アプリやハードウェアトークンは、パスワードや秘密の質問などと同じように、厳重に管理する。
* 2要素認証アプリやハードウェアトークンは、他人がアクセスできない場所に保管する。
* 2要素認証アプリやハードウェアトークンのパスワードやPINコードは、他人に知られないようにする。
このように、2要素認証を導入する際には、これらの注意点を踏まえて、適切に導入するようにする。
まとめ
2要素認証とは、ID・パスワードに加えて、別の要素を組み合わせてユーザーを認証する仕組みである。従来のID・パスワードのみの認証に比べて、セキュリティを大幅に強化することができる。
特に、クラウドサービスの利用が拡大する中、2要素認証の導入は、セキュリティの強化のために不可欠であるといえる。
2要素認証は、Google Workspace、Microsoft 365、Amazon Web Services、Apple ID、LINE Pay など、すでに多くの企業やサービスで導入されている。