ITスキル標準(ITSS)とは、経済産業省が定めた、IT関連能力を職種や専門分野ごとに明確化・体系化し、IT人材に求められるスキルやキャリアを示した指標である。
ITスキル標準の構成
ITスキル標準は、以下の3つの要素から構成されている。
1. スキル体系
スキル体系は、ITスキルを10の領域に分類し、それぞれの領域に必要なスキルを定義したものである。
10の領域
- ストラテジック・マネジメント
- アーキテクチャ・デザイン
- 開発・運用
- ビジネス・アナリシス
- システム・インテグレーション
- サービス・マネジメント
- データ・サイエンス・エンジニアリング
- セキュリティ・マネジメント
- 品質・運用保証
2. スキルレベル
スキルレベルは、ITスキルの熟達度合いを7段階で定義したものである。
7つのレベル
-
- 初級
- 中級
- 上級
- 専門
- スペシャリスト
- マスター
3. スキル・セット
スキル・セットは、スキル体系とスキルレベルを組み合わせたものである。スキル・セットは、IT人材が身につけるべきスキルを具体的に示すものである。
スキル・セットの例
ITスキル標準の活用例
ITスキル標準は、IT人材の育成や評価、キャリアパスの策定などに活用されている。以下に、ITスキル標準の活用例をいくつか紹介する。
1. IT人材の育成
ITスキル標準は、IT人材の育成に活用されている。ITスキル標準を活用することで、IT人材が身につけるべきスキルを明確にすることができ、効果的な育成カリキュラムを策定することができる。
具体的には、ITスキル標準に基づいて、IT人材のスキルレベルを評価し、その結果を踏まえて、必要なスキルを習得するための研修やトレーニングを実施する。
2. IT人材の評価
ITスキル標準は、IT人材の評価に活用されている。ITスキル標準を活用することで、IT人材のスキルレベルを客観的に評価することができ、人事評価や昇進・昇格の判断に役立てることができる。
具体的には、ITスキル標準に基づいて、IT人材のスキルレベルを評価し、その結果を人事評価に反映する。
3. IT人材のキャリアパスの策定
ITスキル標準は、IT人材のキャリアパスの策定に活用されている。ITスキル標準を活用することで、IT人材がキャリアアップするために必要なスキルを明確にすることができ、キャリアパスを検討する際に役立てることができる。
具体的には、ITスキル標準に基づいて、IT人材のキャリアパスを策定し、その結果をキャリア教育や人材配置に反映する。
このように、ITスキル標準は、IT人材の育成や評価、キャリアパスの策定などに活用されており、IT人材の活躍を促進する上で重要な役割を果たしている。
ITスキル標準の課題
しかし、ITスキル標準の活用にはいくつかの課題もある。
1. ITスキル標準の理解
ITスキル標準は、ITスキルを体系的に整理したものであり、IT人材が身につけるべきスキルを具体的に示すものである。しかし、ITスキル標準は、IT技術やビジネス環境の変化に合わせて、定期的に更新されているため、常に最新のITスキル標準を理解しておくことが重要である。
ITスキル標準の理解を深めるためには、ITスキル標準の概要やスキル体系、スキルレベル、スキル・セットを理解するとともに、ITスキル標準を活用したIT人材の育成や評価の事例を参考にすることも有効である。
2. ITスキル標準の最新化
ITスキル標準は、IT技術の進化に合わせて、定期的に更新されている。ITスキル標準を活用する際には、最新のITスキル標準を活用することが重要である。
ITスキル標準の最新版は、IPAのウェブサイトからダウンロードすることができる。また、IPAでは、ITスキル標準の活用に関するセミナーや研修を開催しているため、これらの機会を活用して、最新のITスキル標準を学ぶこともできる。
3. ITスキル標準の普及
ITスキル標準は、まだすべての企業や組織で活用されているわけではない。ITスキル標準を活用することで、IT人材の育成や評価、キャリアパスの策定をより効果的に行うことができるため、ITスキル標準の普及を図ることが重要である。
まとめ
ITスキル標準は、IT関連能力を職種や専門分野ごとに明確化・体系化し、IT人材に求められるスキルやキャリアを示した指標である。ITスキル標準は、IT人材の育成や採用、キャリア開発において、重要な役割を果たしている。
ITスキル標準の普及を図るためには、ITスキル標準のメリットや活用方法を企業や組織に理解してもらうことが重要である。IPAでは、ITスキル標準の普及に関する活動を積極的に行っている。