FORTRANとは?特徴や書き方などをわかりやすく解説

FORTRANは、1954年にIBMのジョン・バッカス氏によって開発された、世界初の高水準プログラミング言語である。




FORTRANの歴史

FORTRANは、1950年代にIBM 704コンピュータ向けに開発された。当時は、アセンブリ言語が主流だった時代であり、FORTRANの登場は画期的な出来事だった。

その後、FORTRANは改訂を重ね、1990年にはFORTRAN 90がリリースされた。FORTRAN 90は、オブジェクト指向プログラミングやモジュール機能など、現代的なプログラミング言語の要素を取り入れたことで、大きな注目を集めた。

2003年にはFORTRAN 2003、2018年にはFORTRAN 2018がリリースされ、現在もなお進化を続けている。

FORTRANの特徴

1. 圧倒的な計算速度

FORTRANは、コンパイラ言語であるため、実行前に機械語に翻訳される。その結果、インタプリタ言語であるPythonやJavaと比較して圧倒的な計算速度を実現できる。これは、科学技術計算において極めて重要な要素であり、FORTRANが長年支持され続けている理由の一つである。

2. 洗練された数値計算ライブラリ

FORTRANは、長い歴史の中で培ってきた豊富な経験と知識に基づいて、数値計算に特化したライブラリが数多く用意されている。行列演算、積分計算、微分方程式の解法など、様々な数値計算を効率的に記述することが可能だ。

3. 高い移植性

FORTRANは、国際標準規格として定められているため、様々なハードウェアプラットフォームで動作させることができる。スーパーコンピュータから組み込みシステムまで、幅広い環境で利用することが可能であり、これがFORTRANの汎用性の高さに繋がっている。

これらの特徴により、FORTRANは、航空宇宙工学、気象学、物理学、化学、生物学など、幅広い分野で利用されている。近年では、人工知能やビッグデータ分析といった新しい分野でも注目を集め、その進化を続けている。

FORTRANの課題

1. 古いイメージ

FORTRANは、1950年代に開発された言語であり、古臭いイメージがつきまとう。そのため、若い世代のプログラマーの中には、FORTRANを敬遠する人も少なくない。これは、FORTRANの普及や発展にとって大きな課題である。

2. 複雑な文法

FORTRANは、長い歴史を持つ言語であるため、文法が複雑で習得しにくいという声もある。特に、現代のプログラミング言語に慣れたプログラマーにとって、FORTRANの文法は難解と感じられることが多い。

3. 現代的な機能の不足

FORTRAN 2018には、オブジェクト指向プログラミングやジェネリックプログラミングなどの現代的な機能が追加されたが、依然として他の言語に比べると機能が不足している部分がある。これは、FORTRANの使いやすさや汎用性を制限する要因となっている。

4. 人材不足

FORTRANを使いこなせる人材は、近年減少傾向にある。これは、FORTRANが古い言語であることや、学習リソースが少ないことなどが原因と考えられる。FORTRANの将来的な発展を考える上で、人材不足は深刻な課題である。

FORTRANの書き方

ここでは、FORTRANの書き方の基本について、サンプルコードを交えながら解説していく。

1. プログラムの構成

FORTRANプログラムは、以下の3つの部分から構成される。

  • プログラムヘッダ: プログラムの名前や使用するライブラリなどを記述する部分である。
  • 変数宣言: プログラムで使用される変数を宣言する部分である。
  • 実行部分: プログラムの処理を記述する部分である。

2. サンプルコード

以下は、簡単なFORTRANプログラムの例である。

Fortran
program hello_world
  print *, 'Hello, World!'
end program hello_world

このプログラムは、”Hello, World!”という文字列をコンソールに出力するものである。

3. 変数宣言

FORTRANでは、変数を使用する前に、必ず変数宣言を行う必要がある。変数宣言には、以下の形式を使用する。

Fortran
integer :: i
real :: x, y

このコードは、iという整変数と、xyという実数を宣言している。

4. 演算子

FORTRANには、様々な演算子がある。以下は、よく使用される演算子の例である。

  • +: 加算
  • -: 減算
  • *: 乗算
  • /: 除算
  • ^: べき乗

5. 制御構文

FORTRANには、様々な制御構文がある。以下は、よく使用される制御構文の例である。

  • if: 条件分岐
  • do: ループ
  • goto: ジャンプ

まとめ

FORTRANは、半世紀以上という長い歴史を持つ、数値計算の王者である。圧倒的な計算速度、洗練された数値計算ライブラリ、高い移植性といった強みを持つ一方、古いイメージや複雑な文法といった弱点も存在する。しかし、近年では、FORTRAN 2018のリリースや、人工知能やビッグデータ分析といった新しい分野での注目など、その進化を続けている。

FORTRANは、独特な書き方を持つ言語であるが、基本的な文法を理解すれば、比較的簡単にプログラムを書くことができる。今回紹介した内容を参考に、ぜひFORTRANプログラミングに挑戦してみてほしい。

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