光ファイバーケーブルとは、光を使ってデータを送受信するケーブルのことである。
髪の毛ほどの細さのガラスやプラスチックの繊維でできており、電気信号ではなく光信号を使って情報を伝送する。
光ファイバーケーブルの仕組み
光ファイバーケーブルは、髪の毛ほどの細さのガラスやプラスチックの繊維でできている。内部構造は同心円状の3層構造になっており、中心から「コア」「クラッド」「被覆」で構成されている。それぞれの役割は以下の通りである。
- コア: 中心部分にあるガラスまたはプラスチック製の繊維。光信号を伝搬させる役割を持つ。
- クラッド: コアの周囲を覆うガラスまたはプラスチック製の層。コアよりも屈折率が低く設定されており、コア内を伝搬する光を全反射させることで、光信号を閉じ込めて伝送する役割を持つ。
- 被覆: ケーブルを外部からの衝撃や水分から保護する役割を持つ。
光ファイバーケーブルはこの構造により、光信号を長距離かつ高速に伝送することができる。
光ファイバーケーブルの中を進む光は、コアとクラッドの境界面で全反射を繰り返しながら進む。この全反射は、光が屈折率の高い媒質(コア)から屈折率の低い媒質(クラッド)に進む際に、入射角がある一定の角度(臨界角)を超えると起こる現象である。
光ファイバーケーブルはこの原理を利用することで、光信号を減衰させることなく長距離伝送することを可能にしている。
光ファイバーケーブルの種類
光ファイバーケーブルは、伝送方式や構造、用途などによって様々な種類に分類される。ここでは、代表的な分類方法である「伝送モード」と「コア径」による分類を中心に解説する。
伝送モードによる分類
光ファイバーケーブルは、光信号の伝わり方によって、「シングルモード」と「マルチモード」の2種類に大別される。
シングルモード光ファイバーケーブル
- コア径が約8~10μmと非常に細く、単一の光モードで光信号を伝送する。
- 光信号の分散が少なく、長距離伝送に適している。
- 減衰が少なく、高速通信が可能である。
- 主に、長距離通信回線や海底ケーブルなどに利用される。
マルチモード光ファイバーケーブル
コア径による分類
マルチモード光ファイバーケーブルは、コア径によってさらに細かく分類される。
光ファイバーケーブルのメリット
光ファイバーケーブルは、従来の銅線ケーブルに比べて多くのメリットを持つ。そのため、近年では様々な分野で光ファイバーケーブルが採用されている。主なメリットは以下の通りである。
高速大容量通信
光ファイバーケーブルは、光信号を利用してデータ伝送を行うため、銅線ケーブルよりもはるかに高速なデータ通信が可能である。また、伝送できるデータ容量も大きいため、大容量のデータ通信にも適している。
低損失
光ファイバーケーブルは、銅線ケーブルに比べて信号の減衰が少ない。そのため、長距離伝送でも信号品質を維持することができる。これは、銅線ケーブルでは距離が長くなるほど信号が弱くなってしまう問題を解決するものである。
耐ノイズ性
光ファイバーケーブルは、電磁ノイズの影響を受けにくい。そのため、工場や医療施設など、ノイズの多い環境でも安定した通信が可能である。銅線ケーブルは電磁ノイズの影響を受けやすく、通信エラーやデータ破損の原因となることがある。
軽量
光ファイバーケーブルは、銅線ケーブルに比べて軽量である。そのため、敷設や取り回しが容易であり、設置スペースも削減できる。
セキュリティ
光ファイバーケーブルは、盗聴が困難である。これは、光信号を盗聴するためにはケーブルを物理的に切断する必要があるためである。そのため、セキュリティレベルの高い通信に適している。
その他のメリット
- 耐熱性: 光ファイバーケーブルは、銅線ケーブルに比べて耐熱性が高い。
- 耐腐食性: 光ファイバーケーブルは、銅線ケーブルに比べて耐腐食性が高い。
- 長寿命: 光ファイバーケーブルは、銅線ケーブルに比べて長寿命である。
これらのメリットにより、光ファイバーケーブルは、通信、ネットワーク、医療、産業など、様々な分野で利用されている。
まとめ
光ファイバーケーブルは、高速大容量通信、低損失、耐ノイズ性などの優れた特性を持つケーブルである。通信、ネットワーク、医療、産業など、様々な分野で利用されており、今後も更なる普及が期待される。